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丁寧な「現品管理」でスムーズな工程管理と高い生産性を実現する工程管理は、あらゆる現場問題を解決する(7)(2/3 ページ)

工場における生産管理の根幹となる「工程管理」について解説する本連載。第7回は、各工程を流れている仕掛かり品を確実に把握する「現品管理」について説明する。

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2.現品管理の機能

 現品管理業務の機能を要約すると以下のような業務を行う必要があります。

  • (1)現品の受け入れ業務
  • (2)現品の保管業務
  • (3)現品の払い出し業務
    • (a)チャージ指示書または出庫指示書に基づく配膳作業などによるコンベヤーや組立工程へのチャージ(投入)
    • (b)流用出庫指示書による出庫
  • (4)部品の棚卸し業務
  • (5)常備品の出庫業務
  • (6)支給部品の管理
  • (7)在庫の調整業務
  • (8)入庫品の事故処理
  • (9)進度管理部署への情報提供(不足部品のアクション)による入庫の促進

 部品の払い出し業務の主たるものは、生産計画に基づく組立工程への部品チャージ(投入)ですが、これを生産計画通りに遂行するためには、あらかじめチャージする前に、進行管理担当者がアクションできるだけの余裕をみて、必要とする部品をチェックして、「全ての部品がそろっているか」「所定の数量はあるか」を確認し、不足が生じた場合は直ちに、進行管理担当者に連絡しなければなりません。

3.現品管理の手順

 現品管理は、材料や購入部品の受け入れ業務に始まり、各工程での物品管理、それに関連する業務における管理など、実に多くの業務が発生します。管理精度を上げるほど、スムーズな生産体制を実現することができます。その一方で、これらの事務作業も含めた作業を改善して、効率的な作業体制の構築にも取り組んでいかなければなりません。

3.1 入庫(購入品、常備品、自社加工品、原料品などの受け入れ)

  • (1)現品と送達帳票とを照合する(図番と品番、数量、他)
  • (2)現品をチェックする(損傷や破損の確認)
  • (3)現品を保管区分により仕分ける
  • (4)現品を所定の保管場所に保管する
  • (5)現品票の人庫欄に入庫数を記帳する
  • (6)送達帳票により、受け払い残高表(入出庫台帳)に記入する
  • (7)送達票をファイリングする

3.2 出庫(払い出し)(チャージ指示書、出庫指示書、流用出庫指示書)

 出庫は、一般的に、部品や材料、治工具、計測器具などの出庫を指示するもので、作業者や工程管理担当者、あるいは運搬担当者が出庫伝票を倉庫管理担当者に示して、所定の素材部品、治工具、計測器などを所要の数量だけ受け取ってくることを指します。出庫伝票には、製品の品名、製番、出庫先、部品または材料名や器具名、出庫数量(材料の場合には材質、寸法、形状、重量)などが記載されています。不良発生や何らかの不具合のために数量不足になった場合は、代替品の出庫のため追加出庫伝票を作成して出庫されなければなりません。また、使用残品があった場合には、戻し入れ伝票とともに倉庫に返します。このようにして指示された数量と実際使用数量が記入され、現物管理および原価管理への情報として反映されます。

  • (1)チャージ指示書と受け払い残高表とを照合し、出庫可能数を確認する
  • (2)出庫不可能品は、工程管理担当部門へ報告する
  • (3)チャージ指示書の出庫数を当日出庫数に修正する
  • (4)現品を出庫し、所定のチャージ場所に運搬する
  • (5)現品票の出庫欄に実際の出庫数を記帳する
  • (6)チャージ指示書により、受け払い残高表に出庫した旨を記帳する
  • (7)チャージ指示書をファイリングする
  • (8)組立日報により工程仕掛かり残数を計算し、受け払い残高表の残高に加算する

3.3 支給品出庫

 支給品出庫とは、外部へ発注する際の外注先に加工や組立に必要な材料や部品などを自社倉庫から出庫して支給することをいいます。

  • (1)支給品一覧表と支払い残高表とを照合し、支給可能数を確認する
  • (2)支給可能品または分割支給品は、工程管理担当部門へ報告する
  • (3)現品を出庫し、支給品置場へ運搬する
  • (4)現品票の出庫欄に、出庫数を記帳する
  • (5)支給一覧表により、部品支給台帳に記帳する
  • (6)加工外注持ち出し証を発行する
  • (7)現品を支給先に引き渡す
  • (8)持ち出し証の控えをファイリングする

3.4 組み残し品の現品管理

 出庫指示書や流用出庫指示書などによるチャージ指示書で出庫した後で、何らかの理由で出庫した部品が全部使用されず、一部残る場合があります。これらの部品を放置すると、現品の粉失、破損につながってしまう場合が多いので、何らかの帳票と現品と一緒に、確実に所定の倉庫へ戻し入れの処置をとる必要があります。一般的には、その手続は以下の方法で行います。

  • (1)少量多品種生産品の組み残し品
    • (a)組み残し品の発生に際しては、直ちに担当の監督者が組み残し品管理票および不良などによる不足部品の検査結果票を発行し、現品とともに組立進行管理担当者に渡す
    • (b)組立進行管理担当者は、組み残し品管理票を現品または保管用の部品箱に添付して、中間倉庫または部品倉庫に保管する
    • (c)検査結果票は、再製手配を行うために、工程管理担当者に送付して、再製依頼を行う
    • (d)組み残し品は、組立進行管理担当者がその進捗状況を常時チェックして、再製手配部品が完成次第、組立にチャージする
  • (2)多量生産品の最終組立における組み残し品
    • (a)組立コンベヤーの機種の切り替え時など、職場の整備担当者あるいは倉庫管理担当者が各コンベヤーや組立職場から、残りの部品を一括回収し、倉庫に保管する
    • (b)不良品については、現場の監督者が検査結果票を発行し、職場の整備担当者あるいは倉庫管理担当者に渡す
    • (c)組立進捗管理担当者は、不足部品の再製作業の完成日を決めて、組み残し数量の組立日を決める
    • (d)検査結果票は、再製手配を行うために工程管理担当者に送付する
  • (3)計画変更による組み残し品

 計画変更による組み残し品については、基本的には上記の手続きに準じますが、原則として、製造番号または受注番号で管理する製番管理品については予備品を認めていない場合が多くあります。従って、不良品が発生すれば必ず組み残し品が発生します。

 このうち少量多品種製品については、納期も迫っている場合がほとんどで、早急に組立チャージを行わなければならないことが多くあります。また、製番管理品の保管は、件数も多いので組み残し品管理票を用いて注意を喚起し、現品が散らばって紛失してしまわないように防止する方策を行わなければなりません。

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