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製造業がポストコロナで勝ち残るために最低限必要となる3つの視点ものづくり白書2021を読み解く(2)(2/5 ページ)

日本のモノづくりの現状を示す「2021年版ものづくり白書」が2021年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2021年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第2回では「製造業のニューノーマル」の主軸として紹介されている「レジリエンス」「グリーン」「デジタル」という3つの視点について掘り下げる。

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COVID-19がもたらした「レジリエンス」の必要性

 このような中でCOVID-19の感染拡大は、自然災害のような局所的被害ではなく、世界全体に予測不可能な形で被害をもたらした。製造業におけるCOVID-19の感染拡大による業務内容への影響については「営業・受注」といった需要面の影響が最も大きい一方、「生産活動」「調達」「物流・配送」などの供給側にも影響し、サプライチェーンの正常な稼働にも支障をきたしている(図7)。

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図7:新型コロナウイルス感染症の感染拡大に起因して支障をきたした業務内容(クリックで拡大)出典:2021年版ものづくり白書

 今後も世界的な「不確実性」の高まりが想定される中、2021版ものづくり白書では、自社の被害想定だけでなく、サプライチェーン全体を俯瞰し、調達先の分散など、多面的なリスク対応を通じてレジリエンスを強化していくことが重要だと述べている。現実問題として多くの企業が自社単独で策定するBCP自体には限界があると認識しており(図8)、このような状況からニューノーマルにおけるBCPは「オールハザード型」とも称される内容に変容していくことが重要だとしている。

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図8:新型コロナウイルス感染症の感染拡大に起因して支障をきたした業務内容(クリックで拡大)出典:2021年版ものづくり白書

 2021年版ものづくり白書では、オールハザード型のBCPを構成する行動計画について、企業のリスクマネジメントコンサルティングを提供するニュートン・コンサルティングの考え方を紹介している(図9)。

  1. 緊急時対応計画:危機発生直後に人命を守るための行動計画を指し、避難・負傷者対応や安否確認、情報収集などをはじめとする初動対応に関して、想定し得る危機の内容に応じて定めることが必要
  2. 危機管理計画:危機発生時に必要な情報収集や経営判断を行うための計画を指し、対策本部の体制や役割、対応方針の検討手段やコミュニケーション手段などについて定めることが必要
  3. 事業継続計画:危機事象の違いにかかわらず、事業継続に必要な人員や施設・設備といったリソースが一部機能不全になったケースを想定し、危機時のリソースベースでの事業継続を実現するための計画
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図9:「オールハザード型」BCPを構成する3つの行動計画(クリックで拡大)出典:2021年版ものづくり白書

 特に「事業継続計画」で示すリソースベースの考え方は、今後災害に限らずあらゆる不確実性を想定しなければならないニューノーマルにおいては非常に重要になる。さらに、これらを支えるデジタル化の取り組みは、危機時のリソースの確保につながるものとして理解、実施されることが極めて重要だとしている(図10)。

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図10:「オールハザード型」BCPを構成する3つの行動計画(クリックで拡大)出典:2021年版ものづくり白書

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