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「夏には半導体不足解消」の予想は実現せず、不透明な中でもしこりを残さないで自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)

さて、今週も引き続き、半導体不足の影響が話題となりました。「半導体が足りない!」と自動車業界がザワザワし始めたのは、2020年末から2021年の初めにかけてだったように思います。

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ソフトウェアアップデートはテスラの専売特許?

 さて、今週公開した記事についても少し触れさせてください。個人的にうれしいのが、マツダが販売後のソフトウェア更新第2弾、エンジン出力アップでのびやかな加速というニュースです。

 「買った後もクルマをアップデート」と聞くと、どんなクルマの、どんな機能を想像するでしょうか。これがテスラの専売特許であるかのように思っている人が一定数いるのではないか、となんとなく感じます。しかし、全くそんなことはないのです。無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)や電気自動車(EV)でなくても、「買った後も最新の状態でクルマを使ってほしい」というサービスは提供できるからです。

 マツダは2021年2月に、「マツダ3」と「CX-30」の初期モデル向けに、ソフトウェアアップデートの提供を始めました。モーターアシスト付きガソリンエンジンの「e-SKYACTIV X」、先行車両との距離を一定に保つ追従走行とステアリングアシストを組み合わせた「クルージング&トラフィック・サポート」、レーダーによって先行車両との距離を保つ「マツダ・レーダー・クルーズコントロール」の機能をソフトウェアの変更によって向上します。今回、さらにディーゼルエンジン搭載モデルもソフトウェアアップデートの対象に加わったのです。

 売った後のクルマも性能アップできるように……という取り組みは、トヨタ自動車の「Toyota Safety Sense C」搭載車でも行われています。また、トヨタ自動車は「KINTO」で取り扱う「GRヤリス」でも、パーソナライズや走行性能アップに対応したソフトウェア更新を提供する予定です。

 日本の自動車メーカーが、「性能を向上するのはモデルチェンジや商品改良のときだけ」という従来の価値観から脱却しようとしているのがよく分かる例だと思います。

 トヨタやマツダのソフトウェアアップデートは現時点では販売店にクルマを預ける必要があります。しかし、従来の価値観から脱却したソフトウェア開発に取り組むのに比べれば、OTA対応モデルを発売するのはハードルが低いのではないでしょうか。OTAの仕組みを構築することができても、「クルマを買った後の人に何を提供するのか」を突き詰めなければ意味がないからです。

 今後も、買ったあとにアップデートできるクルマを楽しみに見守りたいと思います。

→過去の「自動車業界の1週間を振り返る」はこちら

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