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» 2010年04月26日 00時00分 UPDATE

いま考えるべき品質マネジメント改革(1):日本企業の市場問題管理とデザインレビューの水準 (1/6)

度重なるリコール、回収騒動……。モノづくりの現場に何が起こっている? どうすれば顧客が満足するモノづくりができる? いま日本企業が考えるべき“品質”問題を語る

[三河 進/NECコンサルティング事業部,@IT MONOist]

品質改革への意識の高まり

 筆者はNECのコンサルティング事業部で、製品開発の設計・製造プロセスの業務改革やPLMシステムのIT化計画の支援を行っています。取り扱うテーマは、部品表改革や3D設計導入による開発リードタイム短縮など設計・開発プロセスの改善に関連するテーマです。最近取りざたされているリコール問題の影響かもしれませんが、品質保証部門や品質管理部門からの品質改革に関する問い合わせやコンサルティングの依頼が増加しています。

 本連載では、過去の品質問題の原因や背景を考察し、いま解決すべき品質管理の課題についてまとめていきたいと思います。

品質問題増加の背景・原因〜製造業の環境変化と重大な品質問題の増加

 国産自動車のリコール届け出件数や対象台数は増加傾向にあります。図1では2004年をピークにいったん減少に転じているように見えますが、2004年に大規模なリコール問題があったことを考慮すると、重大な品質問題は増加していることが分かります。また、リコール1件当たりの対象台数が多いこと、全世界規模が対象になっていること、複数車種にまたがっていること、が近年のリコールの特徴です。

図1 自動車リコール届け出件数と対象台数 図1 自動車リコール届け出件数と対象台数
国土交通省の報道発表資料「平成19年度自動車のリコール届出内容の分析結果について」より作図

 製造業ではさまざまな観点で急速な事業環境変化が生じています(表)。製造業各社では、製品の短寿命化、開発期間の短縮、コスト削減、顧客ニーズの多様化による製品バリエーションの増加、各種規制強化、グローバル化、などの要求が高まっています。

 製造業の事業環境変化は、製品アーキテクチャ、開発プロセスや生産プロセスに大きな影響を与えています。重大な品質問題の増加と、製品および開発・生産プロセスの変化の関係についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。

変化要因 要求
価格破壊 金融危機
開発費の削減
粗利益増加への継続的圧力
製品開発コストの可視性
製品開発と製造コストのさらなる低減
製品ライフサイクルの短命化 製品ライフサイクル短縮への継続的圧力
早期新製品投入の必要性
新製品投入速度のさらなる加速
継続した新規技術の追求
目に見えるプロジェクト管理
顧客ニーズの多様性 新しい生産モデルの必要性
ユニークな製品
顧客ニーズ把握と対応
商品企画力の向上
搭載機能の多様化・複雑化
投資規模・開発人員増大
グローバル化 為替変動
地理的な分散
分散環境での製品開発
調達の品質と速度の向上
情報セキュリティの強化
政府や業界の規制 環境問題・危険物への配慮
PL法・SOX法への対応
内部統制への対応
グリーン設計への対応
ISO、FDAへの対応
表 製造業を取り巻く環境変化
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