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» 2012年05月28日 16時20分 UPDATE

エイプリルフール企画のその後:おばかモノづくりグッズを販売してしまった件 (1/3)

MONOistのエイプリルフール企画で作った製品の一部を売ることになった。ビジネスはひとまず置いておいて、まずは楽しむ! 中小製造業のデザフェス参戦記。

[小林由美,@IT MONOist]

 「エイプリルフールの企画として紹介させていただくので、何か“変なモノ”を作ってもらえませんか」と“ダメモト”で、取材で交流のあった企業を中心に作品を募ってみた。すると、「待ってました!」と言わんばかりに、製造業各社が“結構本気な”作品を寄せてくれた。

yk_obaka0513_01.jpg 例えばこんな作品が登場

 エイプリルフール企画の「童心に返る――春のおばかモノづくり祭」は日曜日の公開だったにもかかわらず、非常に多くの方々に閲覧いただき、SNSでの反響もポジティブだった。読者の皆さんも、こういう感じの企画を待っていたのだろうか。

 そんな予想以上の盛り上がりを見せたこともあって、「年に1回なので、笑って許して」と言いながらも……、その後、新展開があった。

 2012年5月13日(1日のみ)に、東京ビッグサイトで開催したデザイン・フェスタ(デザフェス)に、MONOistで記事を連載するenmonoと中小企業の有志たちが出展した。そのブース名は、「おばかモノづくり祭」。その名の通り、おばかモノづくりの記事で紹介した製品の実物をそこで紹介し、そのうちの一部は販売した。4月1日の記事公開以降、新たに企画されたグッズも幾つか展示した。

yk_obaka0513_02.jpg 「おばかモノづくり祭」のブース

 デザイン・フェスタとは、プロアマを問わず参加ができるアートの展示会だ。一口に「アート」と言っても幅が広い。絵画やイラスト、アクセサリー、衣類、雑貨など多岐にわたる。

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yk_obaka0513_03.jpg ほかの展示ブース

 そのような、おおよそ一般的な製造業っぽくないイベントに、中小製造業の人たちが出展する理由とは?

 おばかモノづくり祭のブースの話へ行く前に……、その“先駆者”がいるので、まずそちらから紹介したい。

ねじ屋さんのアクセサリーショップ

 MONOistの記事でも紹介したことがある、社員が社長1人だけのねじ屋さん 浅井製作所。同社は小さいながら、ロボット業界に流通するねじの多くを供給していることでも有名だ。

yk_obaka0513_04.jpg 浅井製作所のブース:同社 代表取締役の浅井英夫氏

 そんな同社のデザフェス歴は、5年目。出展し続ける理由としては、「社会におけるねじの地位向上」という大義名分はあるものの……、正直、「楽しいから!」が一番だと同社 代表取締役の浅井英夫氏は語った。また、イベントでさまざまな立場・年齢の人たちと話せることも、モチベーションとなっているようだ。

 ブースには常に人がいて、毎回恒例のねじアクセサリーの売れ行きも順調だったとのこと。

yk_obaka0513_05.jpg 指輪やペンダントを展示した。ネジのカラー(2色)や、「+」と「−」の組み合わせを選ぶことができる。

 アクセサリーのデザインとして見れば、いろいろと意見は出てくるだろうが、こちらは“工業部品っぽい”雰囲気も売りにしている。工業部品に機能美を感じる人たちにとっては、きっと“たまらない一品”だろう。

尾張の黒執事

 もう1件、単独出展した製造業のブースを紹介する。2012年2月に横浜市で開催された全日本製造業コマ大戦に参戦した愛知県北名古屋市の計器(ゲージ)メーカー クリタテクノだ。こちらは、今回初めてのデザフェス出展となった。

 さて、先のコマ大戦では投げ手となった同社の取締役製造部長 黒田正和氏は「黒執事」に扮して、同社の円ゲージ製作の技術で製作した「円ゲージリング」を販売した。エンゲージリングなので、お値段もそれなり。にもかかわらず、こちらも会場で幾つか売れていったそうだ。

yk_obaka0513_06.jpg 黒執事ことクリタテクノ 取締役製造部長 黒田正和氏

 黒執事がノギスで指を測定し円ゲージのサイズを見立ててくれる。

yk_obaka0513_07.jpg 円ゲージの展示:ケースはフォトスタンドにもなる

 その傍らでは、真円度や寸法精度を体感するシンプルなデモも実施した。同社が製作したコマ大戦の「公式ゲージ」(コマの直径がφ20mm以内になっているかチェックする)に、直径が1μmの差がある2種類のコマを通してみるというもの。

yk_obaka0513_07_2.jpg コマ大戦の「公式ゲージ」のデモ

 実際にやってみると、確かに、たった1μm小さいだけで、スカスカした印象になった。また、軽く温めた程度のサイズ変化も確認できるという。

 「皆さん『すごい!』と言ってくださるので、手ごたえを感じ、うれしかったです。普段の製造業系の展示だと、来場者さんの反応はちょっと薄いんですよね……(笑)」(黒執事)。

 やはり同社も浅井製作所と同様に、本業への直接的な効果ということはあまり考えていないようだ。「さまざまな人たちとコミュニケーションが直接取れること」をモチベーションとしていた点も共通していた。さすが、SNSを積極活用するゲージ屋さんである。

おばかモノづくり祭!

 「“ど真ん中”の本業だけに集中していては出会えない人たちに出会える」「とにかく、楽しい」。中小製造業の皆さんのデザフェス出展の理由は、いたって単純だ。

 エイプリルフール企画の記事も、皆さんにデザフェス出展のきっかけを作るという意味で力になれたようだ。もちろん、称賛すべきは、「やってみたい」と言うだけではなく、「実際に、モノにしてきた」企業の皆さんであることは、言うまでもない。

 頻繁にはできないけれど、たまにはこういうことがあった方がいい。自分たちの特技を生かした“文化祭的なノリ”は、厳しい状況を乗り越えるための活力になり得る。

 以降ではいよいよ、おばかモノづくり祭のブースの出展内容を紹介していく。

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