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» 2016年04月18日 10時00分 UPDATE

いまさら聞けない 電装部品入門(24):「ぶつからない」と言い切ったアイサイトが日本の運転支援システムを変えた (1/3)

2009年まで、日本では衝突する前に完全に停止する自動ブレーキが法規制で認められていなかったが、今や部分的ながら自動運転システムも利用されるようになった。自動運転の前段にある運転支援システムを、前後編に分けて紹介する。前編は、クルマがぶつからないための技術だ。

[山本照久(カーライフプロデューサー),MONOist]

 最近ニュースを見ていて、自動運転に関する話題を目にしない日がないほど、世の中から注目を浴びていることを痛感します。自動車と無関係な職業の方とお会いしても、「自動運転ってどうなの?」と聞かれる機会が大変多くなりました。

 つい先日目にしたニュースでは、政府が自動運転の開発を後押しする目的で、自動車メーカーが交通事故時の防犯カメラなどの映像を利用しやすくするため、個人情報保護法をはじめとする法整備を検討しているとも報じられました。これに関しては、そもそも自動ブレーキさえ全然認めてこなかった政府が何を今さら……とも思ってしまいますが、結果的に後押ししてくれるのは良いことです。

 さて余談はこの辺りにしておいて、ここまで自動運転が着目されるようになったきっかけは一体何かご存じでしょうか? 日本国内において真っ先に思い浮かぶのは、富士重工業の「EyeSight(アイサイト)」の活躍が大きく影響していることは間違いないでしょう。

衝突被害軽減ブレーキの先がけ

 皆さんがイメージする自動ブレーキ、もう少し固い言葉でいうと衝突被害軽減ブレーキは、ぶつかる前に完全停止するものだと思います。しかし当初は、ドライバーの意思とは別に完全停止まで自動車が行うシステムを国土交通省が認めていませんでした。

 日本で初めに衝突被害軽減ブレーキを搭載したのは2003年にホンダが「インスパイア」に搭載した「CMBS(Collision Mitigation brake System)」というシステムで、それに続いて各社が同様のシステムを搭載したラインアップを発表していきます。

 衝突被害軽減ブレーキは、ぶつからないよう完全停止するところまでは行わないが、まずは衝突しそうなことを音や体感警報でドライバーに警告し、それでもブレーキ操作が行われない時に自動車側で自動ブレーキをかけて被害を軽減させるシステムです。

 ミリ波レーダーによって前車との距離と速度差を計算することで、衝突が回避できないと判断した際に自動ブレーキを作動させる訳ですが、この技術を使えば完全停止させる所まで制御する技術は各社ともにできなくはありませんでした。

 しかしながら、自動車メーカー各社とも、消極的な姿勢でした。実際に完全停止状態まで自動車側が行ってはいけないという規制や、完全停止するという技術を公表することによる衝突時の責任の所在など、さまざまな懸念事項が存在していたからです。

 そもそも、ステアリングを握るドライバーが全ての最終操作を行うのが道路社会における義務であることも、一種の油断した気持ちを与えかねない完全停止制御の導入に積極的にならなかった理由でした。搭載車種が限定されていたためシステム自体のコストが大変高く、オプションで選ぶ人も少なかったため、搭載率が低かったのも特徴です。

 日本国内で最初に投入された完全停止まで行う衝突未然防止システムは、Volvo Cars(ボルボ)の「シティセーフティ」というシステムです。2009年に発売した「XC60」に搭載されました。先行して発売されていた海外での実績を基に、ボルボが国土交通省を説得した結果、ようやく日本初の衝突未然防止システム搭載車になったと耳にしたことがあります。

 そういう意味では、真っ先に自動で完全停止までブレーキをかけるという糸口を開いたのはボルボということになります。しかし、一般人に認知されるほど積極的な宣伝が行われなかったこともあり、まだまだ周知されたとはいえないレベルでした。

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