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» 2017年09月12日 06時00分 公開

タイヤ技術:空気不要のタイヤ、時速120kmでの走行が可能に (1/2)

東洋ゴム工業は、空気の充填(じゅうてん)が不要なタイヤ「noair(ノアイア)」を発表した。エアレスタイヤの開発には2006年から取り組んでおり、今回発表したノアイアはスポークの構造を大幅に変更している。市販タイヤ並みに耐久性や転がり抵抗、車外騒音を改善した。

[齊藤由希,MONOist]
空気の充填(じゅうてん)が不要なタイヤ「noair(ノアイア)」。時速120kmの高速域まで走行可能(クリックして拡大)

 東洋ゴム工業は2017年9月8日、空気の充填(じゅうてん)が不要なタイヤ「noair(ノアイア)」の試乗会を大阪府内で開催した。エアレスタイヤの開発には2006年から取り組んでおり、今回発表したノアイアはスポークの構造を大幅に変更した。

 従来の試作品と比較して耐久性や転がり抵抗、車外騒音を市販タイヤ並みに向上している。また、従来の試作品では車両に装着しても時速10km程度の低速でしか走行できなかったが、車両重量1トンまでのクルマであれば時速120kmまでの速度で走行できることを確認しているという。

 同社はノアイアについて車内音や乗り心地に課題が残るとし、量産時期についても一切明言していない。しかし、パンクによる交換や空気圧の調整などメンテナンスが不要なタイヤは、カーシェアリングや自動運転技術で稼働率が高まる車両で今後求められていくと見込んでいる。

ヒントは「アウトドア用の折りたたみイス」

東洋ゴム工業の守屋学氏

 エアレスタイヤはタイヤメーカー各社が開発に取り組む次世代技術だ。トレッドゴムが地面に接し、樹脂のスポークで荷重を支持する構造は各社とも共通している。東洋ゴム工業 技術統括部門 技術第一本部長の守屋学氏はエアレスタイヤについて「単純に丈夫な車輪をつくるだけではない。空気入りタイヤと同じ役割を空気なしで果たさなければならない」と説明する。

 東洋ゴム工業はこれまでにさまざまな形状のスポークを採用して改良を重ね、試作品は5世代にわたる。屋外を走行できるようになったのは2009年に開発した第5世代から。しかし、走行できる速度域は限られており、実走行での評価は難しかった。

 今回発表したノアイアは、スポークの構造を見直すことにより、耐久性や転がり抵抗、車外騒音を市販タイヤと同等まで改善した。また、走行できる速度も時速120kmまで向上させた。試乗車は車両重量650kgのスズキ「アルト」だったが、1トン程度までは対応できるとしている。スポークの材料は弾性と強度を両立できるウレタンだ。

アウトドアの折りたたみイスがスポークの構造のヒントに(クリックして拡大) 出典:mont-bell

 ノアイアのスポークのヒントになったのは、アウトドアなどで使う折りたたみのイスだ。簡易ながら大人の体重も支える構造に着想を得て、スポークがタイヤ幅の手前と奥で交差するX字の構造とした。また、外径リング内部をCFRP(炭素繊維強化プラスチック)で補強することでスポークにかかる荷重を低減している。スポークへの力のかかり方の分析にはシミュレーション技術を活用し、補強材を最適に配置した。従来はガラス繊維を通した楕円形のスポークに中間リングを配置した設計だった。

 スポークの本数は過去の試作品から倍増の100本とし、接地圧を分散するとともにスポークの打撃音を緩和させた。また、タイヤ自体の質量は過去の試作品の8.5kgから7.8kgに軽量化を図った。

スポークの構造を大幅に変更した(左)。スポークは交差して荷重を支える形状に(中央、右)(クリックして拡大) 出典:東洋ゴム工業
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