特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2018年04月13日 10時00分 公開

第4次産業革命基礎解説:乗るしかない、この第4次産業革命というビッグウエーブに (1/5)

本稿では、第4次産業革命という言葉の持つ意味、第4次産業革命を推し進める「デジタライゼーション」と「デジタルツイン」、第4次産業革命で重要な役割を果たす世代、そして第4次産業革命において日本の持つ可能性などについて解説する。

[Abhijit A. Barua(シーメンスPLMソフトウェア),MONOist]

 歴史家やエコノミストは往々にして「どの文化も250年おきに社会革命、ビジネス革命、政治革命を経験する」との見解を示している。それならば、500年前の1500年代から歴史を振り返り、こうした現象が科学技術の分野においても見られたかどうかを探るのも意味があるかと思う。

 1500年代、欧州はペスト(黒死病)の流行による絶望と暗闇の中をようやく抜け出した。この頃、グーテンベルクによって印刷機が発明され、知識の普及に革命が起こり、明るい兆しが見えてきていた。この印刷技術は、今の時代のインターネットにも匹敵するほどの画期的な発明だった。

 他にも中世では、望遠鏡や顕微鏡も発明されている。コペルニクス、ガリレオ、ジョン・ネイピア、フェルマー、ロバート・ボイル、アイザック・ニュートンらによる科学的な発見も数多く見られる。現代の解剖学、天文学、生物学、化学、数学、物理学につながる知的なイノベーションが起こった。

 社会もまた革命的な変化を経験した。欧州では、プロテスタント運動が始まったことにより、多くの人々が移民となって各地に分散していった。コロンブスが後の米国の誕生へとつながるアメリカ大陸を発見したのもこの頃だ。

人間の脳理解度における4つのステージと産業革命の関係

 認知心理学者によると、個人の学習や人間の脳の理解度には4つのステージがあるという。最初のステージは知覚化で、聞いたり、読んだりしたときに初めに感じるものだ。2番目は概念化で、科学の法則を観察して合理化する。そして3番目が視覚化、4番目が応用となる。知覚化→概念化→視覚化→応用と進展するわけだ。

 歴史を振り返ると分かるが、1500年代頃までは哲学を中心としたテーマが時代をリードしており、科学知識についてはいわば「知覚化」の時代だった。そして1500年代から1700年代までが主に「概念化」に相当する。

 1700年代中頃から新たな革命の機運が醸成され始めた。この革命を個人の学習ステージに当てはめると「視覚化」と「応用」になる。これが産業革命の幕開けだ。知識の「応用」であり、今日のエンジニアリングの源泉といえよう。科学の概念を応用したエンジニアという職種が誕生したのだ。

 1750年頃に始まった産業革命は、第1次から第4次へと発展していく。第1次産業革命は1800年代後半までで、この期間に機械式装置が誕生した。ジェームズ・ハーグリーブスによるジェニー紡績機やジェームス・ワトソンによる蒸気機関、I.M.シンガーによるミシンなどが発明された。

 第2次産業革命は電気機械式装置で、電気モーターや電球、電話などだ。内燃機関が開発されたのもこのときになる。第3次産業革命は1960年代頃に始まり、リレー、トランジスター、半導体などが発明され、コンピュータ時代の幕開けにつながる。

 そして、21世紀の最初の10年が過ぎた頃から第4次産業革命の時代に入っている。ここからは、第4次産業革命で何が起こっているのかを見ていこう。

 第1次〜第3次の産業革命は、生産性と効率性を上げるためのツールとしての装置を作っていたにすぎない。自動車はA地点からB地点に移動するためのツールであり、飛行機は都市Aから都市Bへと飛行するためのツールだった。これらのツールは全て人間が操作し制御するものだ。

第1次〜第4次までの産業革命の進展とそれぞれの複雑度 第1次〜第4次までの産業革命の進展とそれぞれの複雑度(クリックで拡大) 出典:シーメンスPLMソフトウェア
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