インテルのFPGAはソフト開発者でも簡単に扱える、デルと富士通がサーバに採用組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

日本アルテラがデータセンター向けに展開を強化しているFPGA事業の戦略について説明。デルEMCと富士通のサーバ製品群に、ソフトウェア開発者でもFPGAを容易に扱える環境を用意した「インテルPACカード」が採用されたことを明らかにするとともに、国内のオンプレミスサーバ市場に向けて積極的に提案していく方針を示した。

» 2018年04月13日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
日本アルテラの和島正幸氏 日本アルテラの和島正幸氏

 日本アルテラは2018年4月12日、東京都内で会見を開き、データセンター向けに展開を強化しているFPGA事業の戦略について説明。デルEMC(Dell EMC)と富士通のサーバ製品群に、ソフトウェア開発者でもFPGAを容易に扱える環境を用意した「インテル プログラマブル・アクセラレーション・カード(PACカード)」が採用されたことを明らかにするとともに、国内のオンプレミスサーバ市場に向けて積極的に提案していく方針を示した。

 大手FPGAベンダーのアルテラ(Altera)がインテル(Intel)に買収され、インテルのPSG(プログラマブルソリューショングループ)となって2年以上が経過した。インテルPSGの日本法人である日本アルテラ 社長の和島正幸氏は「インテルが注力するIoT(モノのインターネット)、ネットワーク、クラウドという3つのターゲット市場への展開においてFPGAは重要な役割を果たしている。FPGAの最大の特徴は、顧客の手元で中身を自由自在に書き換えられることだが、それには回路設計の知識が必要だった。2017年は、インテルのCPUのユーザーでも扱えるようにすることに注力してきた」と語る。

2017年のインテルFPGAの取り組み 2017年のインテルFPGAの取り組み(クリックで拡大) 出典:日本アルテラ

 例えば、FPGAの「Arria 10 GX」を搭載するPACカードの開発や、インテルのCPU「Xeon」のソフトウェアとFPGAを同じ開発環境で扱えるようにした「インテル アクセラレーション・スタック」、データセンターに用いるIPのライブラリをFPGAに容易に組み込めるようにするソリューション群などだ※)

※)関連記事:「Xeon」とFPGAをシームレスに連携、「インテルPAC」でソフト開発が容易に

 これら2017年の取り組みを基に、インテルはデータセンター向けに展開するFPGAをPACカードというプラットフォームに統一した。PACカードのFPGAの機能を活用したソフトウェアの開発環境は、2017年秋に無償で公開したアクセラレーション・スタックに全てパッケージされている。「ソフトウェア開発のためのコマンドラインにアクセスするだけでFPGAの再構成までできるようになっている」(日本アルテラ データーセンター ビジネスディベロップメント マネージャーの山崎大輔氏)という。

「PACカード」の開発環境は「アクセラレーション・スタック」に全てパッケージされている 「PACカード」の開発環境は「アクセラレーション・スタック」に全てパッケージされている(クリックで拡大) 出典:日本アルテラ

 ソフトウェア開発者にとってFPGAを扱いやすい環境を構築することで、デルEMCと富士通という大手サーバベンダーもPACカードの正式採用に踏み切った。デルEMCは「R640」「R740」「R740xd」で、富士通は一部顧客向けの早期アクセスプログラムとして「PRIMERGY RX2540 M4」でPACカードを提供する。

 山崎氏は「サーバを発注する際にオプションからPACカードを選ぶだけで、PACカードが組み込まれて届く。サーバベンダーの公式なオプションということは、保証面でも問題ないという判断あってこそ。かつてのFPGAベンダーのアルテラでは、ここまでのことはできなかっただろう」と強調する。

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