連載
» 2018年12月28日 14時00分 公開

FA 年間ランキング2018:敗れた半導体露光機、予兆保全、そしてスマート工場、いろいろ捗った2018年 (1/2)

2018年に公開したMONOist FAフォーラムの記事をランキング形式で振り返る。公開記事の1年間分のデータを集計した上位記事とそこから見えるFA業界の状況について紹介する。特徴的なのはスマート工場の事例が大きく増えてきたことだ。

[三島一孝,MONOist]

≫MONOist年間ランキングのバックナンバー

 製造機械やオートメーション業界にとって2018年は、「スマート工場」が一気に具体化した1年になったのではないでしょうか。

 インダストリー4.0第4次産業革命Connected Industriesなど、IoTやAIを活用したデジタル化による産業革新の動きが広がりを見せていますが、こと工場に関しては、一気にさまざまなツールや手法、機器や設備などが具体化してきたのが2018年の傾向だったと感じています。

 2018年のMONOist FAフォーラムもこれらの動きを象徴するように「スマート工場」の事例記事が数多くランクインしました。FAフォーラムで2018年に公開された記事の年間PVの上位記事とそこから見えるFA業界のトピックについて紹介します。

 2017年2016年と比較すると、タイトルとして「スマートファクトリー」が上がっているものの、ランクインしている記事の具体的な取り組みを見てみると明らかな違いがあり、着実に進んでいることを実感できると思います。

第1位:半導体露光機で日系メーカーはなぜASMLに敗れたのか

 冒頭でスマート工場を徹底的に煽っていたところですが、実は2018年に公開した記事で最も多く読まれたのは「半導体露光機で日系メーカーはなぜASMLに敗れたのか 」でした。

 この記事は、法政大学イノベーション・マネジメント研究センターにおけるシンポジウム「海外のジャイアントに学ぶビジネス・エコシステム」の中で、法政大学 経営学部教授 イノベーション・マネジメント研究センター所長の田路則子氏が講演された内容をまとめたものです。

 圧倒的な強さを誇った日本の半導体露光機メーカーが、水平分業型でプラットフォーム構築を進めたASMLにどのように敗れていったのかを紹介しています。同様のカタチで自前主義、垂直統合型にとらわれて、市場から敗退していったパターンは電機業界などでは数多く見られたことなどから、多くの読者からの関心を集めました。

 プラットフォーム型ビジネスという面では、現在は製造業の領域に、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)などのITプラットフォーマーを含む異業種からの参入が増えており、これらの「日本の敗退パターン」からどう逃れるのかというのが大きなポイントになってきていると感じました。

第2位:故障予知は前提、“真の予兆保全”を実現するために必要になるもの

 第2位には「故障予知は前提、“真の予兆保全”を実現するために必要になるもの」がランクインしました。

 これは2018年新年展望シリーズとして公開した記事の1つですが、1年たった今振り返ると、着実に進捗はしていますが、一気に普及したとはいえないという状況だと感じています。「データ分析によりシミュレーションを行うことで未来が予測できる」ということは、理論としてはその通りなのですが、実際に現場に適用し、それを採算が取れるように運用していくというのは簡単なことではないというのが、見て取れる状況だと考えます。

 スマート工場化への取り組みは「つながる化」「見える化」「分析」「制御」「最適化」の順番で進んでいくといわれていますが、この「分析」と「制御」のところでまだ技術的な壁があるように感じています。2019年もこれらの実際の動きを見極めつつ、最適な情報発信を進めたいと考えています。

photo 稼働監視や予兆保全などが進行しているといわれる航空機エンジン(クリックで該当記事に遷移)

第3位:スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは「意味あるデータ」

 第3位にも2位と同様2018年新年展望の記事「スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは『意味あるデータ』」がランクインしました。

 IoT活用などを含めたスマートファクトリー化のポイントは「サイバーフィジカルシステム(CPS)」だとされていますが、サイバー空間に送る際に全てをクラウドに送ると通信コストなどの負担が大きくなる他、緊急対応などのリアルタイム性が要求されるところで問題が生じます。そこで間で、必要な情報の取捨選択をし、リアルタイム性が要求される事項については反射的に指示を出すような役割として、エッジコンピューティング層が重要になるという考えが生まれました。

 2018年はこうした動きが一般化し、FA層、エッジコンピューティング層、IT層という3層構造が一般化した1年だったように考えます。「とにかくデータを分析する」というだけでは難しいというのは、2位に入った「故障予知」の記事でも示している通りで、実際にはデータの質を問わなければ良い結果を出すことはできません。IT層のITベンダーなどもエッジ層などとの連携強化を進めており、エッジ層を重視する動きは2019年以降もさらに進むと見られています。

photo 3層構造が定着しエッジコンピューティング層を重視する動きが進む(クリックで該当記事に遷移)
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.