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» 2013年02月28日 07時00分 公開

製造ITは品質改善に役立つのかモノづくり最前線レポート(34)(3/4 ページ)

[水野操 ニコラデザイン・アンド・テクノロジー/3D-GAN,MONOist]

品質問題をどうやって解決したか

 このようなIT化の推進によって、実際に品質問題を解決できた事例もある。善入氏は2社の事例を紹介した。まずは、横河マニュファクチャリングの事例だ。効果的にITツールを導入することで「着眼点の変更」「データのビジュアル化」「トライアル&エラーでの解析」の3つを実現でき、品質の向上につながったのだという。

着眼点を変える――不良データの落とし穴をどうやって回避したのか

 同社はプリント基板を生産する企業であり、次のような品質問題を抱えていた。プリント基板の製造時にパターンが欠ける、またはショートするという不良が慢性的に発生していた。

 パターン形成不良を改善する試みはもちろん進めていたが、従来使用していた自動外観検査装置では、改善に必要な詳細不良情報が収集できていなかった。不良の位置や画像が取れていなかったということだ。こうなると、人手で不良情報を収集するしかない。時間をかけてデータ解析をすることを余儀なくされており、経験者の勘に頼る品質改善が中心となっていた。

 そこで同社は検査装置の更新に踏み切った。不良の位置や不良画像など必要な不良情報を自動的に収集し、データベース化することが目的だ。次にウェブアプリケーションで結果を閲覧できるようにした。その後、品質向上を目指し、収集した不良情報と生産管理情報をつなぐためのITツールを導入した。

 新規装置の導入後、不良の原因を探っていくなかで、同社では「人」「環境」「装置」という3つの要因から原因を絞り込んでいくことにした。

 まず、人に着目してデータを収集した。すると特定の担当者が作業した場合に、不良発生率が高くなると分かった。特定の担当者の問題なのだろうか。

 同社はさらに原因を追究していった。次に装置別で検証したところ、複数ある製造装置のうちの1台に不良が集中していたことが分かった。さらに機械と担当者を対応付けたところ、不良発生率が高い担当者は、実は不良発生率が高い装置を操作していることが多いことが分かった。原因は装置にあったのだ。結果的に、データに基づいた判断で適切な対策を打つことができた。

データのビジュアル化が改善に役立った

 パターン欠損不良の改善に有効だった手法は、データのビジュアル化である。まず、不良情報からパターン欠損不良を抽出し、不良が発生した座標と件数を3次元マップとして描いた。

 ビジュアル化の結果、基板の特定位置にパターン欠損不良が多発していることを突き止めることができた。特に裏面に不良が発生していた。なぜだろうか。パターンがコンベアのローラーに接触してダメージを与えているのではないだろうか。このような不良を生む原因としてさまざまな要因を検討した結果、プリント基板の板厚によって違いが出ているのではないかという仮説を立てることができた。

 プリント基板の板厚は生産管理データベースの中で独立して管理されていたため、すぐには仮説を検証できない。そこで、データベース情報を統合して仮説を検証したところ、肉厚が1.6mm未満の基板でパターン欠損不良が多発するという仮説が確認できた。ここまで分かれば、迅速に効果的な対策を立てることができる。以上の仮説検証の手順を図示すると、図3のようになる。

図3 統合したデータベースで仮説を検証 出典:ワイ・ディ・シー

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