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» 2015年08月21日 10時00分 公開

クルマから見るデザインの真価(6):ヤマハ発動機の“乗る楽器”とヤマハの“愛着の乗り物”、息づくYAMAHAのDNA (2/4)

[林田浩一/林田浩一事務所,MONOist]

楽器に盛り込まれたモーターサイクルのような雰囲気

 乗り物のヤマハ発動機がデザインした楽器という点で、FUJIN、RAIJINともにディティールを見ていくと、モーターサイクルのような雰囲気が盛り込まれているのは1つの“らしさ”であるだろう。

 例えばFUJINには、モーターサイクルのタンデムシート風にデザインされたシートが装備されている。また、通常のマリンバでは、低音から高音までの木製の音板の下に、音を増幅させる共鳴パイプがずらりとついているのに対して、FUJINでは前側の一部にのみ取付けられている。その様子は、モーターサイクルのエキゾーストパイプが並んでいるようでもある。

「FUJIN」のモーターサイクル風タンデムシート 「FUJIN」のモーターサイクル風タンデムシート(クリックで拡大)
通常のマリンバの構造 通常のマリンバの構造。音板の下に共鳴パイプが並んでいる 出典:ヤマハ
「FUJIN」のエキゾーストパイプのような共鳴パイプ 「FUJIN」のエキゾーストパイプのような共鳴パイプ(クリックで拡大)

 RAIJINの方もフレームとそれを留めるブラケット、ブラケットに使われる締結のためのボルトといったものが見せる要素として作り込まれている。この様子なども、どことなくモーターサイクルの雰囲気を漂わせているといった具合だ。

「RAIJIN」のフレーム、ブラケット、締結のためのボルト 「RAIJIN」のフレーム、ブラケット、締結のためのボルト(クリックで拡大)

 しかし、こういったディティールの表現以上に、乗り物のヤマハ発動機によるデザインの“らしさ”を感じるのは「動きのデザイン」であることだ。楽器もモーターサイクルもモノ単体では半完成品のようなもので、演奏者やライダーを含めてデザインが完成するということは共通している。今回の2つの作品は、演奏者の「動き」を積極的にデザインしようとしているということが、通常の楽器のデザインとは異なる新鮮さを生んでいる。

 ヤマハ発動機が価値創造へのキーワードとして掲げている“Refined Dynamism(洗練された躍動美)”を、楽器で表現してみたらこうなるという1つの答えとして見るのも興味深い。

「FUJIN」(左)と「RAIJIN」(右)の特徴については、「Two Yamahas, One Passion〜デザイン展2015〜」の会場内で、ヤマハ発動機 デザイン本部 本部長の長屋明浩氏に説明していただいた(クリックで拡大)

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