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» 2016年01月05日 10時00分 公開

海外医療技術トレンド(7):医療ビッグデータの利活用で世界をリードするデンマーク (3/3)

[笹原英司,MONOist]
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政府/自治体が一元化「クリニカル・トライアルズ・オフィス・デンマーク」

 医療ビッグデータの分析や病院での実証実験から得られた知見をベースに、医薬品や医療機器の開発・事業化に結び付けようとする時、大きな壁になるのが、臨床試験だ。デンマークでは、中欧政府と国内5 つの広域自治体が連携して、デンマークで臨床試験を行うための窓口を一元化した「クリニカル・トライアルズ・オフィス・デンマーク」を設置している。

 この臨床試験支援組織の特徴は、医薬品・医療機器に関する専門知識を有するコーディネーターたちのネットワークが、研究者、産業界、研究インフラ、行政機関の間の連携を担う一方、事務局の運営、プロジェクトの調整・管理などについては、広域自治体側が主導的な役割を果たしている点にある。

 図3に示す通り、クリニカル・トライアルズ・オフィス・デンマークが、デンマーク国内で臨床試験の場を探している医薬品・医療機器企業やCRO(医薬品・医療機器開発業務受託機関)から依頼を受けたら、4営業日以内に、候補施設や治験医のリストを提供することが可能である。

図3 図3 薬品・医療機器企業やCROからデンマーク国内の臨床試験候補地に関する依頼があった場合の対応フロー(クリックで拡大) 出典:Clinical Trial Office Denmark 「A Single Point of Entry」(2015年11月10日)

 図4は、参考までに、デンマーク呼吸器研究ネットワークにおける臨床試験の募集可能性調査プロセスの事例を示している。

図4 図4 デンマーク呼吸器研究ネットワークにおける臨床試験の募集可能性調査プロセスの事例(クリックで拡大) 出典:Clinical Trial Office Denmark 「A Single Point of Entry」(2015年11月10日)

 現在、医療/介護福祉機器の分野では、日本からサイバーダイン、テムザック、パナソニック、富士機械製造などがデンマークに進出し、製品開発を進めている。しかし米国企業に比べると、日本勢のプレゼンスは、まだまだ小さい。日本が高齢化のピーク期を迎える2025年までに事業化を実現するためには、デンマークのプラットフォームを活用して、時間を短縮することも必要となるだろう。

筆者プロフィール

笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)

宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。

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