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» 2016年08月24日 10時00分 公開

海外医療技術トレンド(17):医療機器関連でも域内統一化に向けたルール改正が集中するEU市場 (2/3)

[笹原英司,MONOist]

医療機器規制のEU域内統一化に向けた準備作業も本格化

図2 図2 EU医療機器規則提案の概要(クリックで拡大) 出典:European Commission「EU proposals on medical devices - Citizens’ summary」(2012年9月10日)

 米国の場合、医療機器および医薬品双方の規制をFDAが一元的に所管しているのに対し、EUの場合、医療機器規制に関しては、「医療機器指令(MDD:93/42/EEC)」や「体外診断用医療機器指令(IVDD:98/79/EC)」、「能動埋め込み型医療機器指令(AIMD:90/385/EEC)」およびそれらに基づくCEマーキング制度など、関連するEU指令をミニマム・スタンダードとして、各国の規制当局が個別に所管している。その一方で、医薬品規制に関しては、「人用および動物用薬品の認可手続きと監視、ならびに医薬品庁の設立に関する規則((EC)No 726/2004)」に基づき、EUの専門組織として設置された欧州医薬品庁(EMA、英国ロンドンに本部)が所管する形態を採ってきた。

 医療機器についても、医薬品と同様に域内統一ルールを定め、ワンストップショップメカニズムを導入しようという動きが進んでいる。図2に示すように、欧州委員会は、2012年9月26日、「医療機器指令」と「能動埋め込み型医療機器指令」を統合した「医療機器規則」と、「体外診断用医療機器規則」の提案を行っている(関連情報)。欧州委員会は、3年間の移行期間を経て2019年をめどに適用を開始する方針を公表している。医療機器に関する「指令」の「規則」化が実現し、EU域内に同一ルールが適用されれば、日本発医療機器ビジネスの欧州市場参入戦略にも大きな影響が及ぶので、今後の進捗動向を注視する必要がある。

医薬品主導で進む臨床試験ルールのEU域内統一化

 また、ライフサイエンスに不可欠な臨床試験についてみると、EUでは、医療機器や手技・手術に関する臨床研究を除いて、研究対象医療製品(IMP:Investigational Medical product)に関する全ての臨床研究を対象とした「人に使用する医薬製造物の臨床試験の実施におけるGCPの履行に関する加盟国の法令及び行政規則の調和についての欧州議会および欧州連合理事会指令(2001/20/EC)」(通称:EU臨床試験指令)をミニマム・スタンダードとして、各国の規制当局が実施基準を定めてきた。医療機器の場合、「ISO 14155」に準拠して医療機器の臨床試験の実施基準を定めているが、実施する医療施設の現場は、医薬品主導のEU臨床試験指令およびそれに基づく各加盟国の国内法制を前提としたGCP順守の体制を敷いており、その影響は大きい。

 実は、臨床試験についても、現行の「指令」を域内統一の「規則」に移行するための準備作業が進んでいる。2014年4月16日、欧州議会は、「EU臨床試験指令」の内容を見直してEU域内統一のルールとする「EU臨床試験規則(Regulation 536/2014)」を承認した(関連情報)。同規則の主な特徴は以下の通りである。

  • リスクの低い臨床試験に関する規制緩和(「低介入臨床試験」カテゴリーの導入)
  • 臨床試験申請の統一化(EMAのEUポータル)
  • 資料保存期間の長期化(5年から25年へ)
  • 公開データベースへの登録/結果報告義務

 さらに欧州委員会は、2016年6月1日、臨床試験規則の導入に向けて、臨床試験に関わる4つのガイドラインに関するパブリックコメント募集(実施期間:2016年8月31日まで)を開始した。

 具体的には、小児臨床試験が必要な場合の注意点をまとめた「未成年者の臨床試験における倫理的配慮」(関連情報、PDFファイル)、臨床試験の対象となる医療製品を定義する「研究対象医療製品(IMP)と補助医療製品(AMP)使用の定義」(関連情報、PDFファイル)、臨床試験のスポンサーや実施機関が参加者向けに提供するドキュメント類の注意事項をまとめた「非専門家向けの臨床試験結果サマリー」(関連情報、PDFファイル)、リスクの低い臨床試験に関する規制緩和を念頭に置いた「臨床試験におけるリスクに応じたアプローチ」(関連情報、PDFファイル)の4つである。いずれのドキュメントも、医薬品、医療機器の区分に関係なく、臨床試験の現場に影響が及ぶ内容になっているので、注意が必要だ。

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