特集
» 2018年07月31日 06時00分 公開

電動スクーターを“普通に”使えるように、台湾二輪車メーカーはインフラ計画も描く台湾電動スクーターメーカーの野望(前編)(2/3 ページ)

[古庄速人,MONOist]

バッテリー交換、家庭のコンセント……多様な充電手段が特徴

 Many 110 EVとNice 100 EVのボディーは、電動モデルとして新しく開発されたものではない。外観は既存のエンジンモデルのMany 110、Nice 100とほとんど変わらず、細部を見なければ電動だとは気付かない。Many 110はややクラシカルな落ち着いた雰囲気、Nice 100はシャープで若々しいデザインだ。

 しかし、そのメカニズムは、既存の車体に電動パワートレインを搭載する「コンバージョンEV」の域をはるかに飛び越えた独創性に満ちている。壮大なインフラ計画でもあるIONEXの全容については後ほど紹介することにして、まずは車両を紹介していきたい。

 2台とも、2本の交換式の駆動用バッテリーをフットボード下に収納している。交換式バッテリーはリチウムイオン電池で、1本の重量は5kgだ。交換作業を容易にするため、収納時は寝かされているバッテリーケースが交換時には電動で90度回転して起き上がり、簡単に抜き差しできるようになっている。

リチウムイオンバッテリーはIONEXの充電ステーションに合わせた専用デザイン。スロットに差し込んで充電する仕組み(クリックして拡大)

 ただし、動力源はこの交換式バッテリーだけではない。交換式バッテリーとは別に「コアバッテリー」と呼ぶ小型の駆動用バッテリーも車体に搭載されているのだ。さらにコアバッテリーには、ケーブルを使って家庭用コンセントから「プラグイン充電」することもできる。つまり、交換式バッテリーを搭載しない状態でもそこそこの距離を走行し、なおかつ充電できるというわけだ。

 交換式バッテリーは取り外して自宅に持ち込んで充電できる他、街の各所に設置した充電ステーションでの急速充電にも対応している。さらに、満充電の交換式バッテリーを車体に装着すると、自動的にコアバッテリーへの充電もスタートする仕組みになっている。

 ここまで多様な電力供給手段を搭載しているのは「電欠の心配を払拭する」というシンプルな理由が背景にある。時速30kmの定速走行での走行距離は、コアバッテリーと1本の交換式バッテリーの合計で60kmを確保した。通勤や通学、買い物などで市街地の短距離を移動するコミューターとしては問題なく使えるようにしている。さらにこれを補完するのが、各所に設置された充電ステーションなどの給電ネットワーク、IONEXというわけだ。

 ちなみに車体重量は、全てのバッテリーを除いた状態でMany 110 EVが87kg、Nice 100 EVが77kg。バッテリー満載時はこれに15kgが加わるわけだが、それでも通常の125ccスクーターよりは若干軽量に抑えられている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.