特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2019年04月24日 14時00分 公開

ハノーバーメッセ2019:量子コンピューティングを製造現場へ、組み合わせ最適化の価値を訴えた富士通 (1/2)

富士通は、ハノーバーメッセ2019(2019年4月1〜5日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、量子コンピューティング関連技術の1つで組み合わせ最適化問題に力を発揮する量子アニーリングを製造現場に適用する提案を行った。量子アニーリングの専用チップなども紹介し、先進の量子コンピューティング技術により、製造現場を最適化することを訴えた。

[三島一孝,MONOist]

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 富士通は、ハノーバーメッセ2019(2019年4月1〜5日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、量子コンピューティング関連技術の1つで組み合わせ最適化問題に力を発揮する量子アニーリングを製造現場に適用する提案を行った。量子アニーリングの専用チップなども紹介し、先進技術の活用により製造現場を最適化することを訴えた。

photo ハノーバーメッセ2019の富士通ブース。量子コンピューティングの1つである量子アニーリング技術を訴えた(クリックで拡大)

量子コンピューティング技術を製造現場へ

 富士通では、量子コンピューティング技術の1つである量子アニーリングに特化した技術「デジタルアニーラ」を展開している。「デジタルアニーラ」は量子現象に着想を得たデジタル回路だ。組み合わせ最適化問題に特化した方式であるため演算スピードが速い他、プログラミングの必要性もなく簡単に活用できる点が特徴である。

 富士通では、この「デジタルアニーラ」をさまざまな分野で応用するために取り組みを国内外で進めているが、ハノーバーメッセ2019では、製造現場の最適な組み換えなどをテーマに「デジタルアニーラ」の価値を訴えた。

 会場では、2台のロボットとコンベヤーを組み合わせたミニチュアの生産ラインを用意。「赤」「青」「黄」「緑」のワークを、1台目のロボットがコンベヤーに載せ、2台目のロボットがコンベヤーから下ろすという一連の作業を、生産作業と見立てた。4種類のワークは、それぞれ価値、緊急性、サイクルタイム、コストなどの要件が決まっており、これらを生産に流す中で、条件に応じてリアルタイムに最適化するというデモである。

 例えば「コストが最も低くなる組み合わせを考えた場合、どういう順番でワークを載せるべきなのか」などである。これらは組み合わせ最適化問題であるといえるが、通常のコンピュータであれば、膨大な数の組み合わせの中から最適な解答を導き出すのに、多くの時間が必要になる。しかし、「デジタルアニーラ」を活用することでほぼリアルタイムに近い形で最適な組み合わせを導き出すことができたという。

 富士通 エバンジェリスト 及川洋光氏は「実際に、製造現場における日常的な課題の多くは組み合わせ最適化問題である。例えば、生産ラインを組み替える時に『複数の機器などが変数を持つ中でどのように組み合わせればリードタイムを最短にできるのか』や、不具合や機器停止などで『どのようにすれば影響を最小にできるのか』など、多くのことが組み合わせ最適化問題として解くことができる。さまざまな形で活用できる」と価値について語る。

photo 「デジタルアニーラ」により最適化を実施したイメージ。赤、青、黄、緑の4種類のワークで条件がある中で最適な組み合わせをリアルタイムで実現する(クリックで拡大)出典:富士通

 これらを高速に演算できるポイントとして富士通では、この「デジタルアニーラ」のエンジンをハードウェア化していることを挙げる。「ハードウェアとして提供できることで安定的なパフォーマンスが発揮できる他、さまざまな形で提供できる」と及川氏は述べている。

photo 「デジタルアニーラ」のチップ(クリックで拡大)
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