特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2019年05月15日 11時00分 公開

産業用ネットワーク技術解説:いまさら聞けないLPWAの選び方【2019年春版】 (1/3)

製造業をはじめIoT活用への取り組みが進む中で、IoTに最適な通信技術であるLPWA(省電力広域ネットワーク)に注目が集まっている。一口でLPWAと言っても、さまざま通信規格があるためどれを選んでいいか分かりにくい。本稿では、LPWAを中心にIoT向け通信の選び方について解説する。

[松下享平(ソラコム),MONOist]

 LPWA(Low Power Wide Area-network、LPWANとも称される:省電力広域ネットワーク)は、その名の通り「省電力かつ長距離での無線通信が可能」という特徴があります。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)向けの通信に適しているという背景から近年急速に注目を集めている無線通信技術であり、LoRaWANやSigfox、ELTRES、ZETAといった920MHz帯の電波を使った技術から、主にスマートフォンで利用されているLTEを基にしたLPWAであるLTE-MやNB-IoTなど、ここ数年で非常に多くの実装が利用できるようになってきました。

 本稿では、LPWAが注目されている背景やこれまでの進展を振り返りつつ、現在商用で利用可能なLPWAを中心にIoT向け通信の選び方についてどの様な視点が必要なのかを解説していきます。

LPWAが注目されている理由

 昨今、クラウド、そしてマイコンやセンサーといったデバイスの低価格化が進み、誰もがIoTを活用することができる時代が到来しています。

 クラウドとデバイスを結び付ける「ネットワーク」も、有線やWi-Fiといった通信のみならず、モバイル通信(セルラー通信)のような広域の無線通信が1回線単位で、費用も1カ月当たり約45円※1)からで利用できるようになっています。デバイスやクラウドと同様にネットワークを誰でも低コストで利用できる環境が整ったことで、IoTを活用できる可能性が大幅に広がりました。

※1)SORACOM Air for セルラー グローバル SIM の plan01s-LDV プランにおける日本円換算金額

 私たちが普段利用しているWi-Fiやセルラー通信は「人が使うことに最適化しているネットワーク」であり、高速、大容量を追及していますが、その反面、多くの電力を必要とします。一方で、IoTの適用範囲は人向け通信よりも幅広く、例えば屋外など電力供給が厳しい環境下でもIoTを用いて現場のデジタル化を行いたいケースが多くあります。そこで、広域の無線通信を活用しつつも省電力を実現する必要性があり、昨今話題となっているLPWAは電力と通信速度のバランスにおいて、特に消費電力を重視した無線通信技術と位置付けられています。

無線通信テクノロジーにおけるLPWA(LPWAN)の位置付け 無線通信テクノロジーにおけるLPWA(LPWAN)の位置付け(クリックで拡大)

日本国内における商用LPWAサービス

 日本国内で利用可能なLPWA※2)は数多く存在します。共通していえるのは「省電力の広域無線通信」という目的に対して、さまざまな技術的アプローチで実現しているという点にあります。各通信規格の特徴は、以下に挙げたMONOistの記事で解説されているのでそちらをご覧ください。

※2)プレスリリースやサービス紹介において、利用するためのデバイスや通信に係る料金が明記されている通信規格を対象としました

 国内では2017年2月にソラコムが開始した「SORACOM Air for LoRaWAN」を皮切りに、多くの事業者がLPWAの商用サービスを展開しています。一見すると歴史が浅いように見えるLPWAですが、IoT向けにLPWAが開発されたわけではなく、基本的には旧来から存在していた要素技術やその拡張によって「省電力の広域無線通信」が実現されており、技術的には安定しているといえます。こういった特徴がIoT向けの通信にマッチしているということから、ここ数年で急激にLPWAとして商用サービス化されているわけです。

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