「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像
特集
» 2019年09月10日 06時00分 公開

自動運転技術:自動運転車の意思表示で「窓」が重要になる理由 (1/2)

現在、ドライバーは他のドライバーや歩行者に、ライトを使って合図したり手振りをしたりするなどのさまざまな方法で意図を伝えています。しかし、クルマからドライバーがいなくなったらどうなるのでしょうか。

[Jason Thompson(Texas Instruments),MONOist]

 現在、ドライバーは他のドライバーや歩行者に、ライトを使って合図したり手振りをしたりするなどのさまざまな方法で意図を伝えています。しかし、クルマからドライバーがいなくなったらどうなるのでしょうか。

 自動運転車が現実化しつつあるということは、クルマに関する大事な情報を他のドライバーや歩行者に伝えるために使っている合図を、クルマと人間がやりとりしやすいように拡張しなければならないことを意味します。情報や意図を伝えるためのより効果的な方法が必要となり、ディスプレイテクノロジーがクルマとその周辺との間に不可欠なインタフェースとなっていきます。

 現在のクルマには多種多様なディスプレイがありますが、クルマの周辺の世界とやりとりをする目的で設計されている、またはその機能があるものは、ほとんどありません。しかし、透明なウィンドウディスプレイならその課題に対応できるでしょう。自動運転車と同じ道路を走るドライバー、歩行者や自転車に乗った人がその意図を理解できるようにするために、透明ウィンドウディスプレイテクノロジーでクルマの機能を強化することには、幾つかの理由があります。

幾つかの理由で透明ウィンドウディスプレイテクノロジーの重要性が高まる(クリックして拡大) 出典:TI

あらゆるところに信号あり

 交通関係の信号や合図には長い歴史があり、最初は手振りや木製の立て札でした。都市中心部の発展に合わせるように、大量のクルマ、バス、歩行者、自転車をうまくさばくための信号機も急増しましたが、クルマやバス、歩行者、自転車には全て「対話」が必要です。しかし、ドライバー同士やドライバーと歩行者のやりとりについてはどうでしょうか。

 ほぼ1世紀かけて、クルマの合図の方式は手信号から照明方式のものに進歩してきました。方向指示器も、現在のドライバーが持つ表現方法の一例です。方向指示器が点滅しているときのドライバーの意図は、誰でも理解できます。今のところ、合図を出すにはドライバーが手動で方向指示器をオンにしなければいけませんが、最先端のクルマには先進運転支援システム(ADAS)の一部としてセンサーを搭載することが増えてきたため、目的の合図を自動的に出す機能が潜在的に備わっています。ドライバーが手動で行う必要がない場合もありますが、現在のクルマやバスの機能がいくら進化していても、ときにはアイコンタクトや手振りで意思疎通をはかる必要もあります(例えば、道路を横断しようとしている歩行者に手で合図するというように)。ドライバーレスカーにはそうしたことができません。

 自動運転車の出現は、意図を伝えるためにクルマが使用する合図の方式を拡張するだけでなく、車両の外面を使って周辺に意図を知らせるようにしなければならないことを意味します。デジタルディスプレイを使用すれば、ドライバーレスカーが歩行者に、例えば「お通りください」といったメッセージを明確に伝えることができるようになるでしょう。しかし、標準的なクルマのあちらこちらに外部表示器を設置するとなると、車両外側のスペースを占有するだけでなく、車両全体にさらに配線が必要になるなど、今よりもかなり複雑になります。

 幸いなことに、すでにクルマには窓という使える外面が幾つも存在します。意図の表示に窓を利用することが可能なのです。車載グレードの投影ディスプレイテクノロジーと最新の透明フィルムを組み合わせれば、クルマの窓を使ったさまざまなコミュニケーション方法が可能になります。この新型ディスプレイを使用し、ドライバーや歩行者、自転車搭乗者に向けて窓そのものの上に意図を表示することで、ドライバーレスカーが世の中に受け入れられるようになるでしょう。

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