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» 2020年01月17日 11時00分 公開

ママさん設計者が教える「設計者のための部品加工技術の世界」(4):“丸モノ”を削り出す、切削の代表格「旋盤加工」の技術 (3/3)

[藤崎 淳子/Material工房・テクノフレキス,MONOist]
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旋盤加工だけでは出せない精度を実現する「研削加工」

 最後に触れておきたいのが、旋盤加工だけでは出せない精度を実現する「研削加工」です。丸モノの研削には主に2つあり、1つが「円筒研削」、もう1つが「センターレス研削」です。いずれも旋盤加工以上のμm単位の寸法精度と面粗さを実現するものですが、精密さを求める回転部品には、圧倒的に円筒研削が適しています。

 円筒研削には「円筒研削盤」という専用の機械を使います。これは円盤状の砥石を回転させて丸モノの外周とテーパー面を研削する工作機械です。精度的にはセンターレス研削盤よりも高精度の加工が行えます。内径研削には「内面研削盤」という別の機械を使います。

図9 外形研磨と内径研磨 図9 外形研磨と内径研磨[クリックで拡大]

 仕上げに円筒研削や内面研削を用いる場合、旋盤加工の段階で、研削で除去される分の「取り代」を付けた状態で仕上げておき、円筒研削で寸法精度と面粗度を仕上げるという流れになります。

 以下、円筒研削のサンプルです。こちらは金型部品、「パンチ」の外径研削品です。

  • 材質:SKD
  • サイズ:φ50×L60
  • 公差:±0.002
図10 円筒研削のサンプル 図10 円筒研削のサンプル[クリックで拡大]

 こちらは、オスとメスの、テーパーあわせ内径・外径研削品です。

  • 材質:SK
  • サイズ:φ50
  • 公差:±0.003
図11 内径・外径研削品のサンプル 図11 内径・外径研削品のサンプル[クリックで拡大]

 参考までに、円筒研削とセンターレス研削の違いをざっくりまとめてみました(図12)。

図12 円筒研削とセンターレス研削の違い 図12 円筒研削とセンターレス研削の違い[クリックで拡大]

 最近は加工物の段差などに対応できる「5軸NCセンターレス研削盤」もありますが、汎用のセンターレス研削盤は加工物をチャックで固定しないために、旋盤加工の段階で溝やR、段差を持つ物は基本的に対応できません。円筒研削盤は、加工物の両端をセンターでチャックしているので、段差や溝があっても支障なく研削できるところも1つの利点です。



 次回は、切削加工の世界の続きとして、「フライス加工」と「マシニングセンター加工」の技術を取り上げます。お楽しみに! (次回に続く

Profile

藤崎淳子(ふじさきじゅんこ)

長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余(うよ)曲折の末、2006年にMaterial工房・テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“一人ファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組み立て、納品を一人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンター加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。

・筆者ブログ「ガノタなモノづくりママの日常」


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