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» 2020年03月02日 10時00分 公開

MONOist 2020年展望:2020年は空前の火星探査イヤーに、はやぶさ2が帰還しH3ロケットの開発も着々 (1/4)

2020年の宇宙開発で最も注目を集めそうなのが「火星探査」だ。この他「月・小惑星探査」「新型ロケット」「多様化する人工衛星」をテーマに、注目すべき話題をピックアップして紹介する。

[大塚実,MONOist]

 宇宙開発にとって2020年はどんな1年になるだろうか。2019年については、以下のように「民間機による『宇宙旅行元年』となるか」というタイトルで展望記事を書いた。結果的には軒並み延期となり(予想通り?)、宇宙旅行元年とはならなかったわけだが、遅れたのは筆者のせいではないので、気を取り直して2020年の予測を書きたいと思う(この記事を書くのが遅れたのは筆者のせいだが……)。

 2020年も宇宙開発関連ではさまざまなイベントが予定されている。その中でも、筆者が特に注目したいのは、「火星探査」「月・小惑星探査」「新型ロケット」「多様化する人工衛星」といったテーマだ。以下、ミッションの見どころについて紹介していくが、より詳しく知りたいときには併せて紹介しているリンク先をたどってもらえればと思う。

各国の探査機が相次いで火星へ旅立つ!

 まず紹介したいのは火星探査。地球以外の惑星に行く場合、軌道的にちょうど良いタイミングというものがあるため、打ち上げが集中するのはある意味当たり前ではあるのだが、2020年はなんと4機もの探査機が計画されているのだ。打ち上げは全て夏ごろになる模様で、2020年は空前の火星探査イヤーとなりそう。

 米国が打ち上げるのは、大型の探査ローバー「Mars 2020」だ。現在火星で稼働中のローバー「Curiosity」とほぼ同じ外観に見えるが、大きな違いは地中をドリルで掘削し、サンプルを集めておく機能も持っていること。将来のミッションで地球に持ち帰ることを想定しており、生命の痕跡を見つけることができるかもしれない。

Mars 2020 「Mars 2020」は、複数箇所で掘削したコアサンプルを、容器に入れて保管する(クリックで拡大) 出典:NASA/JPL-Caltech
コアサンプルを取得する手順は、こちらの動画を見ると分かりやすい

※)Mars 2020のWebサイト

 欧州とロシアの共同ミッションが「ExoMars」だ。このミッションは、周回機とローバーで構成。周回機は既に火星に到着済みで、2020年に打ち上げられるのはローバーの方となる。Mars 2020ほどではないにしても、重量は310kgという大型ローバーになっており、ドリルで深さ2mまで掘削し、生命の痕跡を探る。

ExoMars 「ExoMars」のローバーは欧州、ランダーはロシアが開発する(クリックで拡大) 出典:ESA

※)ExoMarsのWebサイト

 近年、宇宙探査の分野で存在感を増している中国も、探査機「HuoXing-1(火星1号)」を送り込む。公式情報がほとんどないため、海外報道がベースとなるのだが、周回機、ランダー、ローバーから構成し、同国初の火星着陸を目指す模様だ。将来的には(2028年)、サンプルリターンミッションも計画しているとされる。

※)HuoXing-1を管轄する国家航天局のWebサイト

 サンプルリターンというと、小惑星探査機「はやぶさ」シリーズでおなじみだが、そのメリットは、地上の最新技術で分析ができるということだ。ローバーに分析装置を搭載する場合、どうしても重量やサイズに大きな制約がある。地球に持ち帰れば、大型の装置が使えるので、現地で見落としていた生命の証拠を見つけられる可能性がある。

 火星表面からのサンプルリターンを世界で初めて実現するのはどの国になるか。まだ先の話ではあるが、非常に楽しみなところである。

 そして4つ目の探査機は、アラブ初の火星探査機となるUAEの「Hope」だ。重量1.5トンの周回機で、火星大気の科学観測を行う。この探査機で注目したいのは、日本のH-IIAロケットで打ち上げられるということ。H-IIAロケットで深宇宙への打ち上げを行うのは、2014年の「はやぶさ2」以来となる。

 ちなみに、1998年に打ち上げた日本の火星探査機は「のぞみ」という名前だった。のぞみは残念ながら、火星周回軌道への投入には失敗してしまったのだが、このくしくも同じ意味の名前を持つ探査機にはぜひとも成功してもらいたいところだ。

※)HopeのWebサイト

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