特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2020年03月30日 11時00分 公開

MONOist IoT Forum 大阪2020(後編):住友ゴムがタイヤ製造で目指す工場データの「集中コントロールセンタ構想」 (1/5)

MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2020年1月30日、大阪市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 大阪」を開催した。後編では、住友ゴム工業 製造IoT推進室長 山田清樹氏と同社 製造IoT推進室 金子秀一氏による特別講演と、日本OPC協議会 マーケティング部会 部会長の岡実氏によるランチセッションの内容、さらにその他の講演内容について紹介する。

[三島一孝,MONOist]

 MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2020年1月30日、大阪市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 大阪」を開催した。同セミナーは通算で13回目、大阪での開催は4回目となる。

 前編では、パナソニック モビリティソリューションズ担当参与 村瀬恭通氏による基調講演の様子を紹介したが、後編となる本稿では、住友ゴム工業 製造IoT推進室長 山田清樹氏と同社 製造IoT推進室 金子秀一氏による特別講演「製造現場におけるデータ分析事例のご紹介とIoTプラットフォームのグローバル展開について」と、日本OPC協議会 マーケティング部会 部会長の岡実氏によるランチセッション「OPC UAが注目されているのはなぜか?〜その背景と最新動向〜」の内容、さらにその他の講演内容について紹介する。

≫MONOist IoT Forumの過去の記事

材料のばらつきの影響を抑えるためにIoTを活用

 住友ゴム工業は1909年創業の大手タイヤメーカーである。タイヤ事業の他にテニスラケットやゴルフクラブなどのスポーツ事業、制振製品などを展開する産業品事業を展開している。主力となるタイヤ事業では、国内に白河工場(福島県白河市)、名古屋工場(愛知県豊田市)、泉大津工場(大阪府和泉大津市)、宮崎工場(宮崎県都城市)の4工場を保有する。また、海外では中国に2工場ある他、米国、ブラジル、タイ、インドネシア、トルコ、南アフリカに工場を展開している。

photo 住友ゴム工業 製造IoT推進室長 山田清樹氏

 タイヤの製造工程は、ゴムの混合や押し出しなどさまざまな材料加工工程を経て、部材を成形し、加硫を行い、仕上げる工程となっている。ただ、材料は天然の素材も含まれるため品質のばらつきがどうしても発生し、それがタイヤの完成品の品質のばらつきにもつながっていた。従来は熟練技術者の匠の技でこれらのばらつきを抑えてきたが「IoTやビッグデータを活用することで、早く正確にこれらを分析し、品質を安定させることを考えた」と住友ゴム工業 製造IoT推進室長の山田清樹氏は語る。

 そもそも住友ゴム工業は工場ごとに競争をさせることで生産性や品質の改善を進めてきた歴史がある。そのおかげで各工場で高い生産性を生み出すことができている。しかし一方で、工場が個々で生産性改善を進めたために、工場ごとに設備仕様が変わり、似たようなことを行うのに各工場で個別の投資が必要になり、開発人員や投資の無駄が発生するという課題を抱えていた。「これらをまとめる必要があった」と山田氏は述べる。

工場データを集約する「集中コントロールセンタ構想」

 これらの課題解決を目的として、製造IoT推進室が2017年4月に設立された。従来は個々の工場でプロジェクトベースにより進められていた製造IoT関連の取り組みを一元化し、工場の共通基盤として、製造ビッグデータを活用できる仕組みを構築することを目指した。

 山田氏は「データの収集から分析、フィードバックまでのサイクルを現場部門で行えるようにし、スパイラルアップを進めていける環境を目指した。ポイントが製造現場が自分たちでデータ活用を行い改善が進められるという点だ。生産技術における知見や知識を持ちつつデータを自由に活用するデータドリブン文化を醸成する」と製造IoT推進室のミッションについて語っている(※)

(※)関連記事:住友ゴムのスマート工場はミドルから発信、スモールサクセスの積み重ねが鍵に

 具体的には、複数の工場からの製造データを集約する「集中コントロールセンタ構想」を描き、その構築に取り組んでいる。データ活用において、テーマとしたのは「品質向上」「生産性向上」「設備安定稼働」「省エネ」の4つのポイントで、「時間ロス」「人的ロス」「品質ロス」「材料ロス」「エネルギーロス」を削減する。

 具体的な取り組みとして、「集中コントロールセンタ」のプラットフォームをまずは名古屋工場で立ち上げる。現在構築中だが、名古屋工場で実績を作り、その後複数工場での展開を進める計画だ。IoTプロジェクトを推進する中では、目標値の設定やそれらを検証するPoC(概念実証)が重要になるが、過去の指標がない中で目標値やPoCによる成果を示すことそのものが難しい。こうした中、住友ゴム工業では「IoTのPoCを進める中では、具体的な数値を無理に出そうとするよりも考え方を共有し、そのロジックが正しいかどうかを問う姿勢が大事だ」と山田氏はポイントを強調する。例えば、目標値としては、まず「製造原価」の中の「材料費」や「労務費」「動力費」「修繕費」などの項目を分析。その項目の中に「ロス(無駄)がある」という認識を共有し、項目ごとに具体的に何をどう減らすのかと考える進め方をしたという。

 さらに投資採算の考え方としては「PoC段階では『問題の重要性』を重視し、企業としての課題解決に直結するか展開性はあるかを見る。一方で実装時には、その得られる効果により現状がどれだけよくなり効果を得られるのかという視点で、回収年や投資金額を見て、収益性を計算する」と山田氏はそれぞれのステージでの取り組み方の違いについても語った。

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