連載
» 2020年07月14日 10時00分 公開

モノづくりスタートアップ開発物語(2):IoT尿検査デバイスのBisu、技術へのこだわりが招いた試作時の失敗とは (1/3)

モノづくり施設「DMM.make AKIBA」を活用したモノづくりスタートアップの開発秘話をお送りする本連載。第2回はIoT尿検査デバイスを開発するBisuを紹介。マイクロ流体技術が尿検査分野にイノベーションを起こすと確信して開発を進めた同社だが、思わぬ障害に直面する。

[大沼慶祐(DMM.make AKIBA)/河野正一郎(テックベンチャー総研),MONOist]

 オープン6年目を迎えた東京・秋葉原の会員制モノづくり施設「DMM.make AKIBA」で、社会課題の解決に奔走しているスタートアップを追いかける連載「モノづくりスタートアップ開発物語」。第2回はIoT(モノのインターネット)尿検査デバイスの開発をはじめ、ヘルスケア分野のプラットフォーム構築を目指すBisu(ビースー)のCEO ダニエル・マグス氏に、尿検査デバイスの開発経緯や試作時の失敗談などを聞いた。

⇒連載「モノづくりスタートアップ開発物語」バックナンバー

秋葉原のBisuオフィス前。Bisu CTOのブーワ氏(左)と同 CEOのダニエル氏(右) 秋葉原のBisuオフィス前。Bisu CTOのブーワ氏(左)と同 CEOのダニエル氏(右)

マイクロ流体技術を活用した新型状の尿検査デバイス

 Bisuは新しい尿検査を実現するデバイスを開発している。定期的な尿検査をすることで、生活習慣の改善や、重大な病気を未然に防ぐことに役立つアドバイスをしていくのが、Bisuが提案する新たなライフスタイルだ。

 「尿検査」と聞くと、多くの方は幅5mm、長さ6cmほどの紙に多彩な色の試薬が貼り付けられている試験紙を想像するかもしれない。しかし、Bisuの尿検査デバイスは同じく紙製ではあるが、手で持ちやすい三角形の立体的形状をとっており、そうしたイメージとは少し異なる形だ。

 実際の使用手順は以下の通り。まず検査デバイスの先端部分に少量の尿をかける。胴体部分を引っ張って尿の付着した先端部を紙製の箱に収めた後、検査デバイスに同梱されたプラスチック製の分析機に差し込むと分析が始まる。検査結果は2分後にスマートフォンに通知される仕組みだ。

 スマートフォンに届く検査結果では、尿検査で分かった体の健康状態が点数化されて届く。塩分や野菜、果物の摂取量、プリン体の量、脂肪燃焼率なども確認でき、これらに合わせて、健康状態を改善するためのアドバイスや、おすすめの食材などもスマートフォン上でレコメンドされる。

尿検査デバイスの使用手順。紙製のケースに入っている検査パッドを取り出して先端部に尿をかけ、ケースの両側を軽く押して三角柱になったケース内に検査パッドを収めて(左)、そのまま分析機に差し込む(右)。先端部分に触れずに検査できるので、手が汚れずに済む[クリックして拡大]出典:Bisu

 最大の技術的特徴は、「マイクロ流体技術」を活用した点だ。同技術により尿と試薬をダイレクトに化学反応させることが可能となる。これによって他の試薬と混じり合うことで生じる化学反応の誤差を防ぎ、また、反応時間も最適に制御できる。

 試験紙の先端部には、このマイクロ流体技術を活用して開発した「マイクロ流体チップ」が埋め込まれている。マイクロ流体チップはジェルタイプやフィルムタイプの複数の試薬を埋め込める仕様となっており、これによって検査項目数を従来検査の2倍超に当たる18項目まで増やすことに成功した。

尿検査結果を通知するスマホ画面。現在は英語表示のみだが、日本語表示の準備も進めている[クリックして拡大]出典:Bisu 尿検査結果を通知するスマホ画面。現在は英語表示のみだが、日本語表示の準備も進めている[クリックして拡大]出典:Bisu
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