「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

より大きな自動運転バスで実証実験、国内5地域で7月から自動運転技術

国土交通省と経済産業省は2020年7月10日、自動運転に対応した中型バスを用いた実証実験を国内5地域で行うと発表した。自動運転の技術面の検証に加えて、実際に乗客を乗せることで事業面も検討する。

» 2020年07月15日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 国土交通省と経済産業省は2020年7月10日、自動運転に対応した中型バスを用いた実証実験を国内5地域で行うと発表した。自動運転の技術面の検証に加えて、実際に乗客を乗せることで事業面も検討する。実施地域は滋賀県大津市(大津市、京阪バス)や兵庫県三田市(神姫バス)、福岡県北九州市と苅田町(西日本鉄道)、茨城県日立市(茨城交通)、神奈川県横浜市(神奈川中央交通)の5地域。いずれも準備期間を含めて1カ月以上の実証実験を予定している。

開発した中型自動運転バス(クリックして拡大) 出典:国土交通省

 これまで、国土交通省と経済産業省は自動運転に対応した小型カートや小型バスを用いて実証実験を行ってきた。事業性を向上するため、中型バスについても実証を行う必要があり、2019年度は中型自動運転バス2台を開発した。

 使用したのはいすゞ自動車の路線バス「エルガミオ」だ。バスの開発は産業技術総合研究所(産総研)が受託し、先進モビリティやいすゞ自動車が参加するバス開発コンソーシアムと共同開発した。

 使用する車両は、前方と側方、後方を監視するLiDAR(ライダー、Light Detection and Ranging)、カメラ、ミリ波レーダー、磁気センサーの他、GNSSやLTEのアンテナを搭載する。車両は全長9m×全幅2.3m×全高3m。乗客は安全確保のため着座のみとする。

 実証実験では、各地域の多様な走行環境への対応だけでなく、信号などインフラとの連携技術の安全性や効率性の向上、自動運転バスの利用場面を想定したサービスの評価なども行う。実証テーマは地域ごとにさまざまで、大津市では「都市拠点における新たな交通軸やにぎわいの創出」、三田市では「郊外の住宅地における生活の質向上に向けた地域内交通の確保」、北九州市と苅田町では「空港と臨海部の事業所や住宅をつなぐ交通網の確保」、日立市では「BRT路線における自動運転バスの社会実装」、横浜市では「首都圏丘陵地の郊外住宅地における持続的な交通サービス」をテーマとする。実証中の自動運転バスの運賃は大津市と日立市が有料、三田市、北九州市と苅田町、横浜市が無料だ。

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