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» 2020年07月17日 06時00分 公開

和田憲一郎の電動化新時代!(38):ポストコロナの自動車産業に必要な3つの視点 (1/3)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界で感染者が1300万人を超え、死者も57万人に上っている(2020年7月15日時点)。ニュースでは自動車の販売がいつ元に戻るのかとの論調が目立つが、ポストコロナは単に元の状態に戻すことだけで良いのだろうか。長期視点で見たとき、もう少し違った視点で捉え、今から対応策を練り直す必要があるように思えてならない。今回はこれについて筆者の考えを述べてみたい。

[和田憲一郎(日本電動化研究所 代表取締役),MONOist]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界で感染者が1300万人を超え、死者も57万人に上っている(2020年7月15日時点)。このため、世界経済、その中でも主要な産業である自動車産業は深刻な打撃を受けている。ニュースでは販売がいつ元に戻るのかとの論調が目立つ。

 しかし、このような世界的な感染症の流行に対して、ポストコロナは単に元の状態に戻すことだけで良いのだろうか。長期視点で見たとき、もう少し違った視点で捉え、今から対応策を練り直す必要があるように思えてならない。今回はこれについて筆者の考えを述べてみたい。その際に、考えるべき視点として以下の3つを挙げたい。

  • 早く元の状態に戻すための課題
  • ポストコロナに対応した車両開発が急務
  • チャンスと捉えている企業も少なくない

早く元の状態に戻すための課題

 言うまでもなく、各国の自動車産業はいかに早く以前の状態に戻そうかと注力している。しかし、今回のCOVID-19に対して、簡単には元に戻れない幾つかのハードルがあるのではないだろうか。大きく3つに分類してみた。

(1)開発が困難

 最近テレワークを推進している企業が多いが、車両開発の現場ではどうだろうか。従来、車両の設計段階では、多くの技術者が集まり、利害得失を協議し、方向を取り決めて進めている。単なる打ち合わせであればテレワークでも対応できるが、車体レイアウトの最終設定など、多くのデータを検証しながら、関係部門の意見を調整し、決定を下していくことなど、テレワークでは効率が悪い。

 実験に至っては、CAE解析などで事前確認ができても実車で確認しなければならない案件も多く、テレワークでは到底つとまらない。開発日程に影響が出ているのであれば、企業の事業計画を狂わせ、企業収益に影響を及ぼす。

(2)生産継続が困難

 生産面の課題は2つある。1つは、北京の例でも分かるように、いったん収束しても、第2波などの波状攻撃が予想される。このため、自動車メーカーが工場をようやく再開しても、ある地域で第2波に見舞われると閉鎖せざるを得ない。部品メーカーも同様だ。COVID-19が波状攻撃で来ることにより、サプライチェーンは度々寸断され、生産が安定しない状況が続いてしまう。

 次に、生産時はこれまで以上の追加作業が生じる。自動車の製造では溶接などがロボット化されているが、車両の内外装部品の組み立てはどうしても人手に頼ることが多い。このため、完成検査を行った後に、内外装部品に対する消毒作業が追加されるのではないだろうか。また出荷後も、インパネなどの室内部品に対して、容易に触れない配慮が必要となるだろう。

(3)販売が困難

 ディーラーは対面販売を基本としているが、これが困難となる。最近は、オンライン販売に取り組むところもあるが、きめ細かな対応とはいかず、年間を通してみると大幅な販売減少となるだろう。さらに、多くのディーラーは大きな資本ではないところが多く、資金繰りの不安も考えられる。

図表1:2020年 主要地域の販売台数の前年同月比増減率(クリックして拡大) 出典:中国汽車工業協会などのデータを基に筆者がグラフ化
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