特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2020年10月20日 10時00分 公開

サブスクで稼ぐ製造業のソフトウェア新時代(6):不確実性の時代に製造業が将来を見通すための「ビジネスインサイト」とは (1/3)

サブスクリプションに代表される、ソフトウェアビジネスによる収益化を製造業で実現するためのノウハウを紹介する本連載。第6回は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって到来した本格的な不確実性の時代の中で、製造業が将来を見通すのに必要な「ビジネスインサイト」について論じる。

[前田利幸(日本セーフネット/タレス・グループ),MONOist]

 ポストコロナを迎え、今や本格的な不確実性の時代に突入したといえる。自然災害、政治不安、通貨危機に財政破綻、そして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行など、10年に1度の予測不可能な事態が毎年のように世界各地を襲っている。製造業だけでなくわれわれを取り巻く社会情勢は不安定に他ならない。

 特に今回のCOVID-19のダメージは極めて深刻であると考えられる。リーマンショックを超える影響があると予測されており、欧米諸国よりワンテンポ遅れてやってくる景気悪化の衝撃に備えて、日本の多くの企業が手を打ち始めている。

 2021年以降に到来する製造業へのインパクトはそれほどに計り知れない。製造業にとってはハードウェアが売れなくても、ソフトウェアで稼ぐ手段を構築することが急がれており、ハードウェアとソフトウェアの売上バランスを見直している企業もある。人々のワークスタイルの変化に伴い、所有から利用へと収益構造の変化に対応するためにも、やはり製造業は継続してソフトウェアビジネスを強化していく必要があるだろう。

 そこで、先を見通せない状況においても、時間とともに変化し続ける顧客のニーズを捉えて、顧客に製品とサービスを長く利用してもらうために、企業はどのような手段を取るべきなのか考えてみたい。

⇒連載「サブスクで稼ぐ製造業のソフトウェア新時代」バックナンバー

コロナ禍でも迅速な判断が求められる事業責任者の重責

イメージ ※図はイメージです

 事業責任者はコロナショックに見舞われた中でもさらなる重責を担うことになる。将来が予測できない情勢においても、事業責任者はトレンドやカスタマーニーズを理解して、ソフトウェアビジネスを計画し、なおかつ変化に対応するための柔軟性と機動性が求められる。

 今回のコロナショックに備えることができた企業は、ほとんど存在しなかっただろう。しかし、結果として企業の業績を左右するのは、デジタル化に対する取り組みと、サブスクリプションをはじめとする新しいビジネスモデル、経営幹部の意思決定の早さが影響することは明らかだ。

 事業責任者と企業幹部が合理的な意思決定を行うためには、事実に裏付けられた正確な情報が不可欠だ。そのため、顧客と市場の動きを正確に把握できることは、これからの不確実性の時代にとっては重要な要素となる。かつては営業マンが得意先に出向いて、製品やサービスに関する声を拾って蓄積し、関係部署へフィードバックすることなどで成り立っていた。しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代において、その手段は大きく変貌を遂げることになる。

 顧客が持つ製品の使い勝手を、顧客自身よりも熟知しているものがあるとすれば、製品であるソフトウェアそのものであることに異論はないだろう。製品の利用情報に加えて、顧客のアクティベーション情報や、ライセンスの権利情報、商流など、ビジネスに関する情報を収集、分析して、顧客の隠れたニーズを把握し、市場の未来を予測し、来るべき時期に向けてあらかじめ対処できることは、先行き不安の時代を生き抜く強力な武器になり得る。これこそが「ビジネスインサイト」であり、このビジネスインサイトに裏打ちされた事実を基に、事業責任者は自信を持って戦略上重要な判断を下すことができるようになる。

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