「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

トヨタ子会社のウーブン・プラネット、Lyftの自動運転開発部門「Level5」を5.5億ドルで買収自動運転技術

トヨタ自動車子会社のウーブン・プラネット・ホールディングスは2021年4月27日、米国の配車サービスLyft(リフト)の自動運転開発部門「Level 5」を5.5億ドル(約593億円)で買収すると発表した。買収により、トヨタグループはウーブン・プラネットと米国の開発子会社Toyota Research Institute(TRI)、Level 5からなる1200人体制で自動運転車の開発に取り組む。

» 2021年04月28日 07時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 トヨタ自動車子会社のウーブン・プラネット・ホールディングスは2021年4月27日、米国の配車サービスLyft(リフト)の自動運転開発部門「Level 5」を5.5億ドル(約593億円)で買収すると発表した。買収により、トヨタグループはウーブン・プラネットと米国の開発子会社Toyota Research Institute(TRI)、Level 5からなる1200人体制で自動運転車の開発に取り組む。

 リフトのLevel 5は2017年に発足し、2018年3月から公道テストを行っている。米国ではネバダ州ラスベガスでオペレーターが運転席に乗った自動運転車をリフトのアプリから配車できる。また、Waymo(ウェイモ)とも提携しており、アリゾナ州メトロフェニックスではリフトのアプリからWaymoの自動運転車を配車できるようにするなど、自動運転車を使ったモビリティサービスの商用化にも取り組んでいる。

 買収により、Level 5が持つ米国サンフランシスコ州パロアルトや英国ロンドンの開発拠点が傘下に入る。ウーブン・プラネットの本社がある日本も含めたグローバルな開発体制となる。また、ウーブン・プラネットの自動運転技術の安全性向上と商用化においてリフトのシステムと車両データを活用する協業にも合意した。この他、センシングやコンピューティングの技術、ソフトウェア資産に加えて自動運転システム開発に必要な「戦略的能力」も強化する。エンジニアや研究者、モビリティサービスに関する深い専門知識を持つエキスパートもトヨタグループに合流する。

 ウーブン・プラネット・ホールディングスはトヨタ自動車グループの自動運転開発体制で先行開発を担ってきたTRI-AD(Toyota Research Institute Advanced Development)が体制を変更して発足した。持株会社「ウーブン・プラネット・ホールディングス」の下、事業会社として自動運転技術を手掛ける「ウーブン・コア」と新領域の事業機会の探索に取り組む「ウーブン・アルファ」、投資ファンドの「ウーブン・キャピタル」が活動する。リフトのLevel 5は、ウーブン・プラネットが発足して初めて手掛ける買収だ。

 2020年12月にはリフトと同じく米国の配車サービス大手であるUber(ウーバー)が、自動運転技術の開発部門Advanced Technologies Group(Uber-ATG)をAmazon.com(アマゾン)などが出資するオーロライノベーションに売却している。Uberはオーロライノベーションに出資して引き続き連携するが、自動運転技術の自社開発からは手を引いた。なお、オーロライノベーションは2021年2月にトヨタ自動車やデンソーと提携している。

 Uber-ATGには、ライドシェア向けの自動運転車の本格的な量産とサービスの実用化にめどをつけるため、2019年4月にトヨタ自動車、デンソー、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資していた。当時の出資額はトヨタ自動車とデンソーで6億6700万ドル(約746億円)だった。トヨタ自動車は2018年8月にもUberに5億ドル(約560億円)を出資した。

→その他の「自動運転技術」関連記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.