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隣のメカ設計事情レポート(7):

開発コード「チベ」。楽しくこだわり抜くガンダムポメラ (2/4)

デジタルメモ「ポメラ」の新機種は、ガンダムモデル。ファンたちに満足してもらえるよう試行錯誤した開発裏話を紹介

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 ところが、最終決定直前まで、以下の3つがキングジムから推されていた。

  • シャア・アズナブルモデル(ザク)(赤)
  • ランバ・ラルモデル(グフ)(青)
  • 黒い三連星(ドム)モデル(黒)

 つまり3番目の「黒い三連星」(ジオン軍兵士であるガイア、オルテガ、マッシュの3人により構成する部隊。それぞれ黒い「ドム」に乗る)の案が最終的に却下となった。代わりに、同じ黒基調であるジオン軍モデルが採用となった。

 その一因は、「黒い三連星では、ちょっとコアに振り過ぎていないか」というバンダイサイドの意見。いくらポメラユーザーがガンダム世代で、“とんがっている”といっても、黒い三連星を知っている人は、果たして、その中にどれくらいいるのか?

 こだわるといっても、あくまで、商売のバランスも考えなければならない。キャラの選定をコアにし過ぎて、逆に販売数が減ってしまっても、困る。そういう心配があったのだろう。

 「実現したらしたで、生産の難易度が、現状よりかなり上がっただろう」と立石氏はいう。しかし、「それでもやりたかったですね!」とも。


幻となった「黒い三連星」モデルのパネル試作品 (C)創通・サンライズ

 三連星案は、却下になるまで、試作を繰り返していた。このモデルでは、彫刻風パターンと3つのモノアイフェイスのプリントの合わせ込みが技術的課題になった。それに黒の中の淡色は、その中に沈みやすく、色調整が少々難しい。部品の調色については、正式決定した3モデルにおいても、常に悩ましい課題だった。


「黒い三連星」のパネル試作品(検討過程) (C)創通・サンライズ

【設計】中国チームも大喜び!

 企画が大方固まってくると、中国のA社(香港本社)に技術的相談を持ち掛ける。

 「A社にこの企画を持っていったとき、皆、ものすごく目を輝かせていました」とキングジム 電子文具開発部 開発二課 リーダー 尾花 慎二氏はいう。そして、打ち合わせでは、「どうやるの!」「どのモデルでやるの!?」という具合に、A社のエンジニアたちから質問攻めに遭ったとのこと……。香港にあるA社の設計チームの年齢層は30代半ば〜後半ぐらい。日本のアニメも大好きで、幼いころから観ていた。そして、彼らはちょうど、ガンダム世代でもある。

 案の定、A社スタッフからは「どうして白がないの!」と質問がきたとのこと……。

 普段のA社は、キャラもののタイアップ商品の設計に取り組むことはなかった。しかも、ガンダム。そうとなれば、モチベーションはより高まる。「設計も部品も、常に素晴らしい精度で仕上げてきてくれました」と尾花氏はいう。

 当然、設計やモノづくり面もこだわり尽くした。「ユーザーも、自分自身も、単なるトップパネルの色変えだけでは納得しないと考えました。そのこだわりをガンダムファンたちにどこまでアピールできるか。それも1つのチャレンジでもありました」(尾花氏)。

 中でも凝っているのがランバ・ラルモデルで、トップパネルを複数パーツで構成。ランバ・ラルの専用機は鞭(むち)を持った青い「グフ」。なので、その鞭をイメージした×状のパーツとパネルベース、ランバ・ラルのエンブレムの3つとした。

 ベースパネル自体も、材質違いかつ色違いの2色成形(紺と濃紺部)で製作した。量産試作では鞭パーツのはまる溝部付近に若干のウェルドラインが生じてしまい、取材当時(2010年11月初頭)は、ウェルドラインを最小限に抑えつつ、パーツのはまる細い溝にウェルドラインの位置が来るように成形条件を調整しようと試みようとしていたところ。もちろん、実際に市場に出る量産品では調整されたものが出る見込みだ。


ランバ・ラルモデル 試作品 (C)創通・サンライズ

 試作品は、キングジムが特に指示をしなくても、パネルベースの溝とエンブレムのはめ合いはA社スタッフにより絶妙な具合に詰められ、エンブレムの塗装に至っては「まるで七宝焼のように見えた」と尾花氏は振り返る。同氏は正直、ここまでのレベルで仕上げてくるとは考えていなかったという。


ランバ・ラルモデルの仕様指示図 (C)創通・サンライズ

 もともと、キングジムの持つ商品への思いやこだわりをよくくみ取ってくれるA社の設計者たちだったが、今回はそれがより一層強く感じられたとのことだ。

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