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» 2018年02月06日 10時00分 公開

鈴村道場(8):エレキバンのピップが“シンの”トヨタ生産方式で改善した海外生産物流のヒミツ (4/4)

[エフ・ピー・エム研究所 鈴村尚久/構成:株式会社アムイ 山田浩貢,MONOist]
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4.効果

 上記の改善を行うことにより、少なくとも数億円以上あった在庫が3分の1〜4分の1になりました。従来は毎日20〜30点欠品していましたが、欠品が出ないのが普通になりました。

 1品番欠品が起こると、複数の問屋から同一品番に対する注文(オーダー)が約10〜20件の欠品となります。つまり、20〜30品番の欠品は、200〜600件の注文が欠品だったということになるのです。

 以前は、欠品が発生し始めると調整に時間を要し工数がかかっていましたが、それも削減されました。

 定量的な効果だけでなく、定性的な効果もありました。工場が開発部門や営業部門に物を申すことが以前はできませんでしたが、改善が進むことにより次のことがいえるようになりました。

  1. 営業部門から予告なしで大量発注があると欠品になるため、あらかじめ予告情報を提示して欲しいといえるようになりました。こうすることで、営業と工場の責任分担が明確になり、かつ工場の責任で欠品が起きなくなったため、営業の内示精度の悪い問題に対し、指摘ができるようになりました。ただし、最後は製造部門でどれだけカバーできるかが大切です。
  2. 商品の企画の条件付けが工場から開発部門に通るようになりました。例えば、パッケージのサイズの明示が表面に印字されていたが下向きで梱包するため、入れ間違いにつながっていました。これの明示を裏面フラップ(耳)にも色で分かるように変更することで、入れ間違い防止につながりました。工場の努力が経営者や本社間接部門にも認められたため、会社としてよくなる提言については前向きに聴いてもらえるようになりました。

 これらのことによって、風通しのよい文化が形成されて行きました。

5.まとめ

 海外生産における物流改善のポイントについてまとめます。

図4 図4 海外生産における物流改善のポイント(クリックで拡大)

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物流 | トヨタ生産方式 | 製造業 | 在庫管理


筆者紹介

エフ・ピー・エム研究所 所長
鈴村尚久(すずむら なおひさ)

1976年3月京都大学法学部卒業。1976年4月トヨタ自動車入社。退社後1999年8月にエフ・ピー・エム研究所を設立。トヨタ生産方式のコンサルタントとして、はくばく、ピップフジモト、パナソニック、マルヨシセンターなど多くの企業の生産改善を手掛ける。著書に『トヨタ生産方式の逆襲』(文春新書)。父・鈴村喜久男氏(故人)は「トヨタ生産方式」の生みの親である大野耐一氏の側近として知られる


筆者紹介

株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)

NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、

原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。


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