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» 2014年03月19日 10時45分 公開

マイクロモノづくり概論【人づくり編】(1):マイクロモノづくり仲間を集める方法 (2/4)

[宇都宮茂/enmono,MONOist]

試作品の見積もりは“第一関門”?

 チームが組めない状態だと、町工場とは単に「見積もり依頼し、発注する」だけの関係(発注者と受注者)となる。

 筆者の過去の経験では、試作依頼することに不慣れな人が見積もり依頼をした場合、事前に想定した10倍以上の見積もり額になってしまうことすらあった。そして、「ものをお願いしようとしても払えない」「日本の町工場は高い」といった印象を強めてしまう。

 見積もりの作業自体にも労力が掛かる。つまりそれにコストが発生していることが理解できていないのが原因の1つだ。

 また見積もり費用の妥当性は、経験と知識がなければ分からないものだ。モノづくりの金額は、価格.comでぱっと調べれば分かるようなシロモノではない。とにかく見積もりを取る経験を積み、“費用感”(相場)をつかんでいく必要があるが、相見積もり(複数の企業で同時に見積もりを取って比較する)をあまりに頻繁にやり過ぎると、町工場から良い印象はまず持たれない。

 そこで、プロトラブスのような自動見積もりサービスなどでザックリした費用感をつかむのがよさそうだ。プロトラブズの場合は、3次元データ形状や指定材料に基づき、コンピュータが自動で見積もりを算出するため、見積もり回数で費用が加算されることはない。Webで調べれば、この他にも自動見積もりや費用が分かるサイトなどがあるかもしれない。

 ただし、自動見積もりは、町工場による見積もり額とは多少異なるので注意したい。あくまで加工費用の感覚を捉える1つの手掛かりとしたい。くれぐれも自動見積もりサービスで出した見積もりを町工場にそのまま、「これでやってくれ」と提示するなど、失礼なことはしないように……。

町工場のことをもっと知ろう

 相手の事情もろくに知ろうとせずに付き合えば、その時点で信頼関係を構築することは不可能だ。町工場を経営する側の事情を、分からないなりにも理解しようという姿勢を持つとよいだろう。そのために、過去の「マイクロモノづくり概論」の記事も併せてお役立ていただきたい。

 一方、困っているメイカーズの方の気持ちを理解しようとしている町工場も多数ある。最初は、そういうところに相談するのがよいだろう。横浜市の町工場 関東精密がメイカーズとコミュニケーションを取るために「メタルDIY」という「金属加工ができるコワーキングスペース」を運営している。こちらも利用してみるとよいだろう。

メタルDIY

自分から情報を発信しよう

 自分が語る事業ストーリーに共感してもらえる要素がなければ、町工場に興味は持ってもらえない。コアメンバーを巻き込めないようであれば、ビジネスにはならない。モノはできるかもしれないが、その先がない。とにかく、「モノを作ること」が目的ではない。これを強く意識するべきだ。

 マイクロモノづくりのビジネスを実現するため町工場にコンタクトする前に、まず自分から、Webサイトやブログ、SNSを使って情報発信しよう。その際には、自分が社会や未来に対してどのような変化をもたらしていくのかを語る必要がある。まずは自身の考える事業ストーリーを固めよう。

 また以下のような「なに?」「なぜ?」を伝えていくようにしよう。

  • 何を発信し続けるのか?
  • なぜこのモノを作るのか?
  • なぜ自分がこれをやるのか?

 「1年間、毎日ブログを書き続ける」など目標を設定し、継続的に情報を発信し続けることで、自分のフォロワーを獲得することも大事だ。自分自身が何者であるかということを周囲に地道に伝え続け、「継続できる人」であることを認知してもらうのだ。その土台があれば、信頼関係構築がしやすくなるだろう。

 このような活動は回り道に見えるかもしれないが、最終的には近道となる。情報発信も何もせず、Webで見つかった問い合わせ先にやみくもに電話し続けても、こちらの情報や意図がうまく伝わらず、断られ続けるだろう。そして、自信を少しずつ失っていくものだ。折れずに、さまざまな企業にコンタクトし続けても、鈍感になって悪循環になるか、結局挫折してしまうかのどちらかだろう。鈍感になっても、とにかく継続していけば、短期的には何かしら成果が得られるだろうが、信頼関係の構築にはまず逆効果となるので、お勧めしない。

情報発信する町工場とコンタクトを取ろう

 ブログで情報発信している町工場は、今やたくさんある。そこで発信されている内容などから、工場の雰囲気や思いを感じ取り、コメントを付けるなどして、徐々にお近づきになっていこう。いずれはモノづくりの相談にも乗ってもらえるようになるかもしれない。その際、「自分が何者であるか」を発信するブログやWebサイトなどが、関係作りを助けてくれるだろう。

 以下では、情報発信が活発な町工場や設計会社のブログを紹介する。MONOistの記事で既におなじみの人もいる。また、検索キーワードを工夫して情報発信している町工場を見つけて知り合うという方法もある。ぜひコンタクトしてみよう。

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