スマート工場化で得られる4つの価値、現場で“OODAループ”を回すのに必要なものスマートファクトリー

横河電機の国内向けサービスを展開する横河ソリューションサービス。同社が現在最も力を入れているのが、横河電機グループとしての豊富な技術やノウハウを生かしたスマート工場を中心としたデジタル変革への提案である。その具体的な取り組みを紹介する。

» 2019年11月26日 10時00分 公開
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 スマート工場化の動きは、あらゆる製造業で広がりを見せている。スマート工場化の価値としてはさまざまなものが期待されるが、「操業改善」「設備管理」「業務改善」「環境・省エネ」という4つのソリューションから顧客企業の持続的成長に結び付けているのが、横河電機グループで国内向けのソリューション展開を担う横河ソリューションサービスだ。

photo 横河ソリューションサービスの執行役員であり、ソリューションビジネス本部長を務める勝木雅人氏

 「スマート工場化によりリアルタイムでデータを集め、それを基盤として活用できるようになることで、以前から製造業で定着しているPDCAサイクルだけではなく、OODA(Observe:観察、Orient:状況判断、 Decide:意思決定、Act:実行)ループが回せるようになります。製造業が先の見えない変化に対応することを要求される中、より柔軟に対応できるようになります」と横河ソリューションサービスの執行役員であり、ソリューションビジネス本部長を務める勝木雅人氏は語っている。

 多くの工場のオートメーション化などのノウハウを持ち、エッジデバイスから基幹系のITシステムまで幅広いソリューションを展開する、横河ソリューションサービスの製造業向けデジタル変革およびスマート工場への取り組みを紹介する。

横河電機グループのノウハウを生かしデジタル変革を提案

 横河ソリューションサービスは横河電機グループの国内向けのソリューションベンダーとして、2013年に設立。機器や製品単体から課題解決型のソリューションへ顧客のニーズが移行する中、コンサルタント、システムインテグレーター、保守サービス、機器提案までを組み合わせた提案が行える体制となった。プロセス生産や組み立て生産の各種制御から、経営情報システムまで総合的なソリューションサービスを提供している。

 ソリューション提案を強化する中で同社が注力しているのが、日本の製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)やスマートファクトリー化の支援である。勝木氏は「国内プラントの状況を見ると、重大事故の発生が増加傾向にあります。この背景には、設備の老朽化や労働構成の問題などがあります。しかし、全ての工場を新設するのは現実的ではありません。またそこで働く人財の拡充や育成も非常に困難になってきています。企業の経営者はこの厳しい状況を受け入れた上で、解決していく必要があります。その大きな解決手段として、デジタル技術の活用があると考えています」と語っている。

 スマートファクトリー化で得られる価値として勝木氏は「スマート工場化などで生まれる価値も全て企業価値につなげていかなければなりません。そういう意味で企業にもたらす価値は『操業改善』『設備管理』『業務改善』『環境・省エネ』の4つがあると考えます。これらを軸とするDXを顧客企業と共に推進し新たな価値を創造していきます」と語る。

スマート工場化で得られる4つの価値

 「操業改善」で目指すのは品質安定化だ。操業中の製造ラインからラインプロセスデータ、原料データ、品質データ、設備データなどのさまざまなデータを収集・保管し、現場の操業や運転に必要な情報を一元的に確認できるようにする。さらに、この操業情報を使い原料や工程、設備などの解析を行い、制御系にフィードバックして改善を図る。

 さらに、サプライチェーン、操業目標、4M(Man:人、Machine:機械、Material:材料、Method:方法)などの環境や条件の変化が大きく頻繁になる中で、既存の枠組みにとらわれずに臨機応変に対応することが求められる。そのため以前から製造業では定着しているPDCAサイクルだけではなく、「今何が起こっているのか」を正確に見極め、仮説を立てることを重視する「OODAループ」にも注目が集まっている。同社では、このOODAループを回すためのコンサルティングなどに加え、これらに適応した操業改善プラットフォームを提供。さらに「観察」に必要なデータを集めるIoTや分析するAIなどの技術などの提供も行う。

 「設備管理」は、各設備のライフサイクルを適正に管理するもので、資産価値の最大化を狙いとする。工場や新しい生産ラインの建設時は、設備投資(CAPEX)に注目されがちだが、数十年という期間で稼働し続けることになるため、実際には導入費用よりも、運転や保全などに費やす運用コスト(OPEX)の最適化がポイントとなる。例えば、設備の信頼性を確保し、設備起因による計画外の停止トラブルなどを削減することで稼働率を高めたり、設備の機能低下を抑制したりする活動が重要となる。そこでコンサルティングとソリューションを一体化させた設備管理支援サービスを提供し、既存設備を最大限に活用しつつ利益を創出することに貢献する。

 「業務改善」では、生産のスループットを向上させつつ、欠品や在庫をなくす全体最適を図り経営目線での利益を最大化する。例えば、中堅製造業をターゲットに提供している「ものづくり競争力強化支援サービス」では、製造現場における日々の改善活動の成果をキャッシュフローで評価する仕組みを基盤とし、その企業が本来の強みとする「現場力」や「緻密に構築された生産設備群」をIoTで融合し、経営成果を創出する「次世代ものづくりビジネス」を顧客との共創により実現する。

 「環境・省エネ」では、エネルギーと生産の関係を見える化し、課題発掘を行うことでエネルギー効率の最適操業を実現する。これまで個別最適で運用されてきた動力側と生産工程の間を連携させ、工場全体で最適化されたエネルギー効率の最大化を図るのである。工場内のプロセス間連携、動力とプロセス間の連携、地域間連携など、豊富な経験に裏付けられた高度なエネルギーマネジメントのノウハウで、その取り組みを支援する。さらにこの共創は、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)やESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)経営などにもつながっているという。

photo 横河ソリューションサービスがDXで実現する提供価値。横河電機の甲府工場でさまざまな実証などを行っておりそのノウハウも活用する(クリックで拡大)出典:横河ソリューションサービス

産業用IoT向け無線ソリューションによる現場改善

 横河ソリューションサービスの強みは、これらの4つのソリューションにおいて、現場の1つ1つのセンサーなどの機器レベルから、全体的な経営システム、これらを支えるITなどの幅広いポートフォリオを保有し、総合的な提案が進められる点にある。

 工場やプラントのリアルタイム情報を総合的に集めて一元的に見える化する「GRANDSIGHT」などの経営視点でのソリューションを展開する一方で、エッジ側でもデータを活用するさまざまな仕組みを展開している。

photo 「GRANDSIGHT」のイメージ(クリックで拡大)出典:横河ソリューションサービス

 エッジ側ソリューションの1つとして好評を得ているのが「Sushi Sensor」である。「Sushi Sensor」とは、LPWA(Low Power Wide Area)の1つであるLoRaWANに対応した産業用IoT向け無線ソリューションだ。設備保全の基本データを収集するSushi Sensorと、そのデータを定量化して客観的判断を可能とする解析機能を提供。運転データとSushi Sensorからの設備状態のデータを同時に監視することで、運転システムと設備保全システムを連携させ、センサーによる設備の状態検出から適切な行動選択までが最適化されたAPM(Asset Performance Management)を実現している。

photo Sushi Sensor(クリックで拡大)出典:横河電機

 また、相互に関連する複数の設備条件や運転条件を調整することで、安定操業を維持しつつ保全コストを最小化する。さらにクラウドを使ってプラント間でデータを共有することで、複数の類似プラントや装置の効率運用を実現し、事業や企業全体の操業効率を向上させることが可能となる。プラント全体の設備状態を俯瞰的に把握することで設備リスクの優先順位を判断し、バランスの取れた設備保全投資を行うことができる。

 Sushi Sensorが特に大きな効力を発揮するユースケースの1つとして挙げられるのは、高所や防爆エリアなどへの展開だ。「危険場所を含む設備のデータを自動収集し、オンライン化することで点検工数を削減すると共に、個人の経験と勘、現場ノウハウに依存していた点検結果を定量化、可視化します。結果として巡回員のスキル、経験による点検品質のバラツキを低減し、設備のトレンド監視により『いつもと違う』という異常の兆候を早期に検知することが可能となり、故障の見逃しを回避します」と勝木氏は語る。

 一方、DXのコンサルティングを支えているのが、2014年に行われたM&Aにより横河電機の完全子会社となったKBCだ。KBCは、もともと石油・ガス産業のアップストリーム(開発・生産工程)からダウンストリーム(精製工程)まで一貫したソフトウェアとコンサルティングサービスを提供してきた企業である。そこに横河電機グループの計測、制御機器を中心とした産業オートメーション分野の強みを融合することで、現場レベルの操業効率の向上や経営レベルの収益性の改善を実現する。

 「工場やプラントの健全性を保つために『直近の定期修理で何を行う必要があるのか』という点に対し、KBCのコンサルタントは、明確なリスク基準で優先順位を定めたり、点検で済ませられる項目を区分したりすることで、定期修理がスケジュール通りに完了するようにマネジメントします。また、全社的なリスク基準そのものをブラッシュアップすることで、全工場の定期修理を最適化します」と勝木氏は語る。またエネルギー利用の効率化に向けたシミュレーションなども用意する。こうしたKBCのコンサルティングに基づいた業務改善を実施した結果、あるプラントでは年間3億円のエネルギーコストを削減することに成功したという。

 勝木氏は「将来的には、製造現場で起こる事象に対するデータを全て集めてデータレイクに収納し、そのデータを分析した知見を現実世界にフィードバックする仕組みを作ることを目指しています。自動で現実世界の制御を変更するところまで視野に入れています」と語っている。

photo 集めたデータが自律的に品質改善として回る仕組み(クリックで拡大)出典:横河ソリューションサービス

Microsoft Azureとの連携でより多くの選択肢を提供

 さて、ここまで横河ソリューションサービスのスマート工場化に向けた提案を紹介してきたが、これらの幅広いソリューションを1社で実現できたわけではない。これらのサービス展開を、力強く支援しているのがマイクロソフトである。

 横河電機グループでは、従来の「製造業」としての立場からデジタル技術を生かしたサービスを組み合わせ、「モノ」+「コト」を訴求するサービス型のビジネスモデルへと業態展開を図っているところだ。その基盤として、マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」をベースとしたIoT基盤「Industrial IoT(IIoT)Foundation」を2018年4月に構築。ともにデジタル変革を進めるパートナーとして強固な関係を築いているといえる。

 さらに、横河ソリューションサービスはもともとマイクロソフトのパートナーとしてさまざまな技術を活用し多くのユーザー企業への提供を進めてきたという実績がある。独自開発のプロセス製造業向けソリューション「YOKOGAWAプロセス製造業向けテンプレート」を標準機能として実装し、プロセス製造業を中心とした数多くのプロジェクトを成功に導いたことが評価を受け、「Microsoft Japan Partner of the Year」において7年連続「Enterprise Resource Planning(ERP)」のアワードを受賞しているという。

 これらを背景とし、横河ソリューションサービスもMicrosoft Azureをクラウドサービスの基盤として活用し、さまざまなソリューションをマイクロソフトとの協力で提案していく方針である。海外では既に協業製品を展開しているが、国内でも展開を本格化するという。

 勝木氏は「Microsoft Azureの魅力は、グローバルをカバーすると共に強固なセキュリティを備え、なおかつPaaSとして提供されるIoT系や機械学習系のツール、SaaSとして提供されるDynamics 365やアセット管理のアプリケーションなど、豊富なクラウドソリューションを取りそろえていることです。またある調査会社の発表でも『製造業界およびエネルギー業界向けIIoTのリーダーポジション』にあると評価されるなど、産業用IoTの世界で中心的な企業であることから、安心感もありました。マイクロソフトの持つさまざまな機能と連携することで、顧客に対してより多くの選択肢を提供することができます」と連携の価値について語っている。

 今後に向けては「CEVO(Customer Economic Value Oriented:顧客経済価値指向)の理念のもと、顧客企業にとって現実的に役立つ価値を提供したいと考えています。成功事例をより多く、広い分野で生み出していくことが当面の目標です。産業用IoTでも数年前と比べると具体的な成果というのは増えてきました。成果をしっかりと訴え、ステップを重ねながらより大きな成果に結び付けていきたいと考えています」と語っている。

photo 「成功事例をより多く発信したい」と力を込める勝木氏(クリックで拡大)

IIFES2019出展のお知らせ

 横河ソリューションサービスと日本マイクロソフトはそれぞれ、2019年11月27〜29日に東京ビッグサイトで開催される「IIFES2019」に出展します。詳細については以下でご確認ください。

横河ソリューションサービスの出展内容

photo (クリックで、横河ソリューションサービス IIFES出展紹介サイトへ)

日本マイクロソフトの出展内容

photo (クリックで、日本マイクロソフト IIFES出展紹介サイトへ)※画像は前回のブース

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年12月25日